パソコンというと、とかく機能や性能面へ目が行きがちになるのだが、メーカーのユーザーサポートというファクターが実はとても重要だったりする。トラブルがないに越したことはないのだが、色々なことができるパソコンだからこそ、トラブルにはまったく無縁とは言い切れなくなってしまうのも事実。
パソコンをスムーズに導入するにも、そして長く使い続けるためにも、ユーザーサポートの充実具合が影響してくる。この点はエントリーユーザーはもとより、パソコンをヘビーに"働かせている"ような上級者にとっても同意いただけることだろう。
さて昨年末、マウスコンピューターがWebサポートページのリニューアルを行なった。ユーザーの声を大きく反映し、より使いやすく新機能の追加なども行なわれているという。同社では、ユーザーの"満足"は"利益"だと考え、特にユーザーサポートに注力しているのだとか。同社担当者はユーザーサポートについて「製品を長く、有効に使って欲しい」という思いで、「ユーザーの声を最も大事に」運営しているのだと説明してくれた。
では、そのマウスコンピューターのユーザーサポートは具体的にはどのように運営されているのだろう? 今回は特別に、同社のサポート現場の方に直接お話を伺うことができた。いつものような"製品"へのフォーカスとはちょっと異なる話題になるが、パソコンユーザーにとっては価値ある話題が数多い、同社の「ユーザーサポート」について紹介しよう。
ユーザー視点のリニューアル
まずは昨年末のリニューアルで変わった部分をまとめてみよう。大きく3つあり、ひとつ目は「ダイレクトFAQ」の新設で、単語などをベースとしたFAQ検索では、欲しい情報まで辿り付きづらいことが多いかったが、ダイレクトFAQでは「製品のシリアル番号」「製品の型番」で製品固有のドライバインストール方法や各種アップデート、不具合情報を確認できる。入力フォームはWebサポートページの一番上にも新設されているので、迷うことはないだろう。
ふたつ目は「新検索システム」。閲覧時点での最新対応機種がリアルタイムに更新されるため、ユーザーは自分の持つ製品に該当するFAQかどうかをその場で判別できるようになった。利便性を考え、適合するドライバやマニュアルなどの情報があれば、それぞれのFAQでファイルのダウンロード機能もあわせて提供する。
最後が「修理依頼シート作成機能の搭載」だ。サポートをスムーズに実施できるよう、専用の入力フォームが用意され、指定された必要事項に入力、そのまま修理依頼シートの作成・印刷ができるようになっており、修理依頼の際のユーザーの負担を減らす工夫がなされている。
ほかにもWebサポートページ自体が使いやすいよう、表示メニューのブラッシュアップなど細かな変更が加えられている。同社によれば、基本にあるのはユーザーからのフィードバックであり、今回に限らず、そこを考慮しながら今後も"ユーザー視点"での改良を続けていく方針だそうだ。
マウスのサポートは"ここ"が違う!?
そして今回、マウスコンピューターにてカスタマーサポートの現場を担当する重松淳氏に、同社のサポートのコダワリについて直接"生の声"を伺うことができた。重松氏は「販売シェアが大きいからといって、ユーザーを蔑ろにすると、ユーザーを満足させることはできない」のだと説明してくれた。
同氏は、現在のサポート体制で特に「ユーザー登録をベースとしたコールバックシステム」「24時間365日の電話サポートシステム」「製品開発部門」を挙げ、これらを、自信を持って提供している同社サポートの特徴だとアピールする。電話サポートの充実は当然のこととし、「ユーザーの事情は様々。電話、FAX、Webと窓口はできるだけ広くしなければいけません。電話だけとか、Webだけというのは"コダワリ"に反する。コールセンターとWebの連携はこれからもどんどん強化します」(重松氏)。
この、"窓口"の部分は相当に気を使っているらしく、「ユーザーを待たせてはいけない」というのが現場の合言葉になっているとか。窓口にはトラブルや指摘など、ユーザーからの様々な情報が舞い込んでくる。それらをまとめ上げ、現場の情報を全体で共有し、技術的な専門部隊も投入し情報を精査することにより、サポートはさらに充実する。重松氏は「ユーザーの声が最も大切」と強調する。
ところで、ちょっと脱線するが、この同社の"窓口重視"の施策にまつわる面白いエピソードがある。「電話窓口にユーザーから名指しで指名があるスタッフもいるんです」とし、そういったスタッフの一人として、同社カスタマーサポートセンターの現場で、実際にユーザー対応を行なっているという巻島歩美氏を紹介してくれた。施策が実際に実を結び、手厚い対応ができていることを示す好例と言えるだろう。
サポートの電話窓口というとハードワークなイメージだが、「電話越しに、"ドライバーを入れてください"と説明したら、工具の"ドライバー"を持ってきちゃった方がいて困ったこともあります」(巻島氏)と、やはり苦労は多いそうで……。しかし、「この情報もキチンと共有して、その後は皆で"ドライバー"ではなく"ドライバーソフト"と言い方を改め、必要なら説明も行なっています」。このような失敗談は相当多いそうなのだが、そういった苦労も積み重ね、無駄にしないのが流石といったところか。
巻島氏には、せっかく力を入れているユーザーサポートなので、担当するスタッフとしても「是非有効に使って欲しい」という思いがあるのだという。「弊社のパソコンは長期保証もありますし、愛着を持って何年も使っていただく方も多いので、期待に応えられるよう手厚い対応をしています」(巻島氏)と、サポートセンターで実践されている心掛けも語ってくれた。
さて話を戻すが、BTOが主力の同社にとって、製品開発部門の重要度も非常に大きなものだろう。ユーザーサポートへの貢献といった側面以外にも、「速く、正確な開発ができているからこそ、製品の素早い市場投入が実現しているのです」(重松氏)。確かにマウスコンピューターは新製品の投入が素早いが、このことは製品のトラブルを抑える"開発"の充実を裏付けるものでもあったようだ。