無線通信機器製造業者フォーラム(MMF: Mobile Manufacturers Forum)は、携帯電話の電波が睡眠に与える影響に関する最新調査レポートを発表した。携帯電話の発する電波が、実際に不眠症を招く可能性などが指摘されてはいるものの、明確な関連性を証明するためには、さらなる研究調査も必要とされている。
同レポートは、スウェーデンのカロリンスカ研究所(Karolinska Institute)と米ウェイン州立大学(Wayne State University)が共同で実施し、携帯電話の電波と不眠症との関連性に関する調査報告を受けて発表された。同調査では、18~45歳の男女70名以上を対象にして、884MHz帯域の無線デジタル信号を浴びせ、その後の睡眠状態を詳細に分析。一定時間を通信電波にさらされて過ごした後に眠ろうとすると、その影響がなかった場合と比較して、深い睡眠に入るまでの時間が長くなる傾向が観察されたほか、最も深い睡眠の継続時間が短くなることなどが明らかになったようだ。
今回の調査に携わったBengt Arnetz教授は「携帯電話利用が何らかのストレスを生じさせ、バランスよくストレスに対処できるようにする脳の働きに、確かに影響を及ぼしてしまうことが示されたと受け止めている」とのコメントを発表した。
一方、MMFは、今回の調査結果を真剣に考慮する必要性があるとしつつも、このデータのみに基づいて、携帯電話の電波と不眠症に明確な関連があると、早まって結論付けることはできないとの見解も表明している。
MMFの発表レポートでは、先に世界保健機関(WHO: World Health Organization)が公表した「携帯電話や基地局が発する電磁波によって、明らかに深刻な健康上の問題が生じることを示すに足る調査結果は、現在のところ出されていない」とのコメントを引用。オーストラリアのスウィンバーン工科大学(Swinburne University of Technology)が、2005年に実施した同種の調査では、携帯電話からの電波が不眠症を引き起こすとの仮説を、確たる証拠によって裏付けることができなかったことも紹介されている。