日本AMDは、2008年の事業方針説明会を開催した。
挨拶に立ったのは同社代表取締役社長 森下正敏氏。まず2007年をふり返り、日本AMDにとって「実りの多い年」と評価した。昨年、AMDはATIを買収し、新生AMDを作り上げ、プラットフォームビジネスを立ち上げた。その成果としては、プラットフォームベースで新規顧客である東芝を獲得、また、日本電気のノートブック・デスクトップにおいてAMDプラットフォームモデルが安定してNo.1セールスを獲得したことなどを報告した。
2008年の事業方針としては「5つの戦略」を掲げた。それぞれ、
- 次世代のプラットフォームソリューションの立ち上げ
- 更なる新規顧客の獲得と、Win-Winのパートナーシップの構築
- クアッドコア製品での市場シェア拡大
- グリーンITの更なる推進とITコミュニティでのリーダーシップ役の貢献
- コマーシャル市場でのシェア拡大
となる。これら戦略を掲げ、「日本AMDは2008年も大いに事業推進してまいります」と述べた。
次に壇上に立った取締役 マーケティング本部 本部長の吉沢俊介氏は、米国で発表された07年第4四半期の決算発表を改めて報告。そのなかで、16億7,800万ドルの経常損失という点に触れた。これはATI買収に関し、買収後最初の決算において、有形、無形(ブランドや顧客、営業、知的所有権などのいわばのれん代)の資産価値を再評価しなければならないという米国の会計ルールにのっとった処理で発生したもので、再評価の結果、無形資産の価値が下がっていると出たためであると説明した。
売り上げに関しては好調を強調し、マイクロプロセッサではデスクトップ・サーバを含むクアッドコア製品の出荷が40万個を超えたことを報告。営業利益(非GAPP)は900万ドルの損失となったが、「ほとんどトントン」と形容。損益分岐点にかなり近づき利益率も上がってきており、ウォールストリートでも好意的にとられていると紹介した。マイクロプロセッサ以外では、グラフィック製品の伸びが非常に高かったとのこと。07年1月から12月のデータで、グラフィック統合チップセットのシェアが通期で1%から17%に上昇したこと、ディスクリートグラフィックスのシェアが同22%から29%へ上昇したこと、ノートブック向けディスクリートグラフィックのデザイン・インが100件を超え、08年には実際の製品となって登場してくることなどを紹介した。
また、現行のOpteron(Barcelona)、Phenomのシリコンにおけるエラッタに関しては、それを修正したB3シリコンがFabからあがってきており、社内評価中であることを紹介した。このB3シリコンは今四半期中に出荷の予定。さらに08年下半期に45nmプロセス製品を出荷する予定は変わっていないとのことだ。そのほか、同氏は08年上半期のプラットフォームロードマップにも触れた。それによると、メインストリーム向けに「Cartwheel」、ノートブック向けには「Puma」が用意されている。Cartwheelでは、CPUがクアッド/トリプル/デュアルコア製品、チップセットはRS780、グラフィックはRadeon HD 3000シリーズとされる。Pumaは、CPUがコードネーム「Griffin」、チップセットがRS780M、グラフィックがMbility Radeon HD 3000シリーズとある。
エンタープライズ分野に関しては、エンタープライズビジネスディベロップメント本部 本部長の多田和之氏がグリーンITを中心に紹介した。Opteronのパフォーマンス/ワット性能を訴えてきたことが企業にも浸透したと述べ、さらに東大・京大・筑波大といった3大学へのスパコン導入、それに係わる国内ベンダーの参入を紹介した。今後に関しては、「AMD Green」をさらに推進し、技術や企業活動、業界団体への働きかけ等で貢献していくとする。なお、エンタープライズとは若干ことなるが、グリーンの一環として「OLPC」に関する取り組みも紹介された。
AMDの兄貴こと土居憲太郎氏は、AMD Live!を紹介した。AMD Live! Explorerでは、エフェクトがかかった3Dインタフェースでメディアファイルをブラウジング、AMD Live! On Demandでは、自宅のPC内のメディアファイルを参照し再生するといったデモンストレーションを行った。