日本語の組版処理をサポートした日本語版TeX (アスキー日本語TeX、pTeX)に、TeXの拡張版としての機能を備えるe-TeXをマージした「e-pTeX」が公開された。pTeXに対するパッチの形で用意されたソースコードのほか、パッチ適用済のWindows版バイナリパッケージが有志ユーザにより配布されている。最新版は、1月20日公開の「eptex-80120.19」。
e-pTexは、pTeX 3.1.10をベースにe-TeX 2.2相当の機能と、10進21桁の浮動小数点演算機能を追加した、日本語TeXの新しい実装。東京大学の北川弘典氏が、同大理学部数学科の授業内プロジェクトとしてスタート、変更を加えた部分を拡張BSDライセンスのもとpTeXのパッチとして公開したもの。なお、開発はTeX Live 2007 (Web2C-7.5.6) 環境下で行われているため、teTeX 3などのWeb2C-7.5.4環境下では、適用するパッチの種類や作業手順に違いがある。
e-TeXは、スタンフォード大名誉教授のDonald Knuth博士が開発した組版処理システム「TeX」の拡張版。TeXおよびpTeXでは、扱えるレジスタの数が256個に制限されるなど、設計がスタートした1977年当時の環境を前提としているため、コンピュータの性能が向上した近年では不都合が生じていた。e-TeXは、TeX完全互換モードを備えるほか、レジスタの増加 (最大32768個) や命令 (プリミティブ) の追加を行った拡張モードを提供、pdfTeXやXeTeXといったTeXの拡張版にも使用されている。