アディダス ジャパンはこのほど、アスリートをサポートする吸水速乾性に長けた新技術「FabricX(ファブリックエックス)」を開発した。これにより、どんな状況下でもアスリートがべストパフォーマンスを発揮できる"究極のウェア"を実現させたとしている。

同社は「アスリートがベストパフォーマンスを発揮でき、体に負担を与えないウェアこそ"究極"のウェア」とし、長年研究を続けてきた。

今回開発された新技術は、ミクロ単位の吸水ポンプ技術を厚さ0.5mmの生地に搭載。ADループという導水構造により優れた吸水力を発揮し、汗を瞬時に吸収、生地表面へすばやく汗を拡散させるという仕組みになっている。そのため多量の発汗時でも、ウェアが肌にべとつかず、衣服の空気循環を高められるとしている。

商品企画開発事業本部商品開発部のグループマネージャー川端圭二氏がFabricXの断面ディスプレイを用い、説明

特殊な液体を用い、従来素材(ポリエステル吸汗素材)とFabricXを比較。左が液体をつけた状態で、右がその上にろ紙を置いた状態。FabricXは拡散後すばやく乾き、ろ紙に液体がつかなかった

今度は従来素材とFabricXの速乾性を比較。左が液体をつけた状態で、右がその下から熱風を数秒当てた状態。FabricXは乾き始めているのがわかる

新技術の開発記念として開かれたプレス発表会では、同社商品企画開発事業本部商品開発部のグループマネージャー川端圭二氏、スポーツマフォーマンス事業本部カテゴリーマーケティングシニアマネージャーの江口貴弘氏、スポーツドクターで平石クリニック院長の平石貴久氏がディスカッションに参加。江口氏はアスリートのパフォーマンス低下を、(1)脱水状態(2)発汗による冷えに言及し、「アスリートのパフォーマンス低下を用具(ウェア)で補う」ために新技術を開発したと説明した。Jリーグチームのチームドクターも努める平石氏も「サッカーの場合、ハーフタイムで選手一人一人の汗をどう飛ばすか、発汗で上昇した体温をどう下げるかが勝負なんです」とし、ウェア素材の重要性を訴えた。

左から川端圭二氏(アディダス)、平石貴久氏(平石クリニック院長)、江口貴弘氏(アディダス)

同技術を使用したウェアの場合、従来素材(ポリエステル吸汗素材)より軽量感・サラッと感・乾燥スピード・吸水力・冷えの解消度を1.5倍~2倍近くアップさせている。また同技術搭載ウェアは1月より、陸上、テニス、サッカー、野球といったスポーツにおいて順次展開されている。いずれのウェアもポリエステル100%・ニット素材を利用しているが、生地はスポーツの特徴にあったものを使用している。

FabricXの技術を搭載したウェアの一部。1月より販売されている

なお同技術は、2010年FIFAワールドカップ南アフリカ・アジア予選にて着用予定のサッカー日本代表新ユニフォームにも搭載が決定しており、24日に財団法人日本サッカー協会と合同の記者発表会が行われる予定だ。