文部科学省は今月から、学校の公式ホームページとは異なる、児童や生徒が管理する学校関連のブログや掲示板、いわゆる「学校裏サイト」の実態調査を始めた。"ネットいじめ"の温床となっているとされる同サイトの数や誹謗(ひぼう)中傷などの内容の実態について、NPO法人や大学教授の協力も得て調査、3月末までに結果をまとめるとしている。

学校裏サイトに関しては、2004年6月に長崎県で当時小学6年生の女児が同級生を刺殺する事件が起こったが、その背景にはインターネットサイトへの書き込みなどを巡るトラブルがあったと指摘されている。こうした事件があったにもかかわらず、これ以降も学校裏サイトは拡大、当人が掲載を望まない画像や誹謗中傷が掲示されるなど、"ネットいじめ"の温床ともなっていると言われる。

ネットいじめについては、全国の小中高校生を対象に同省が調査した「2006年度 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」において、いじめの認知件数12万4,898件のうち、全体の約3.9%にあたる4,883件が「パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされた」とする、いわゆる"ネットいじめ"だった。

また、総務省は昨年12月、携帯電話各社に対し、契約者が未成年の場合に有害サイトへの接続を制限する「フィルタリングサービス」への原則加入を要請、それを受け、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが原則設定を決めるなど、同サービスの利用は拡大する傾向にある。だが、同サービスを使っても、学校裏サイトへの接続制限は十分でないケースもあるという。

こうした事態を受け、昨年11月に文部科学省で開かれた「ネット安全安心全国推進会議」においては、学校裏サイトの問題が取り上げられ、今後取り組むべき課題として同サイトの実態把握調査が必要と指摘された。

今回の調査では、学校裏サイトの総数や、わいせつ画像や誹謗中傷記事の掲載状況などについて、NPO法人や群馬大学社会情報学部教授の下田博次氏らの協力を得て調査、3月末までにまとめるとしている。

同省青少年課担当専門官の妹尾剛氏は「まずは、実態を把握しなければ学校裏サイトへの対策を立てようがない。誹謗中傷などの程度がどのくらいのものかなどについて、多くの人の協力を得て把握したい」と話している。