19日に公開される映画『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』の会見が都内で開かれ、来日中の主演のジョニー・デップ、ティム・バートン監督、製作のリチャード・D・ザナックが報道陣の前で本作への思いを語った。
ジョニー・デップは近頃お気に入りのメガネをかけたスタイルで登場。茶色の大きな帽子をかぶり、黒っぽいシャツにベスト、ダメージのある個性的なデニム・パンツをクールに着こなしていた。前作『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールドエンド』のプロモーション以来、約8カ月ぶりという短期間での再来日。当初の予定より一日遅れの前日に成田空港に到着後、都内でジャパン・プレミアに出席。翌日午前中から会見し、イギリスへ向かうというハードなスケジュールとなった。
本作は19世紀のロンドンを舞台にした狂気の理髪師、スウィーニー・トッドの物語。ジョニー・デップは彼の魅力の一つである低く、渋い声で質問に丁寧に答え、会場からは「かっこいい」という声が男性からも上がっていた。
初の殺人鬼役ということで、悪魔になった気分はどうだったか、という質問に、ジョニー・デップは「(トッドを)悪魔とか邪悪とは思っていない。トッドは被害者なんだ。すべてを奪われたときに彼は死んでしまった」。さらにトッドについて「非常に魅力的で複雑なキャラクター。クラシック・ホラー映画に出てくるような登場人物だと思う」と話し、ボリス・カーロフの名をあげた。これは、デップ×バートン監督の2作目である『エド・ウッド』(1994年公開)を思い起こさせる発言だった。また、「題材は激しいけれど、撮影中クスクス笑ったりする場面もあったんだ」と現場の様子にも触れた。
この作品は、トニー賞にも輝いた人気ブローウェイ・ミュージカルを下敷きにしており、ティム・バートン監督が長年映画化を切望していたもの。ジョニー・デップと監督の6度目のタッグという面と同様、彼の歌声が映画で初披露される点も見逃せないところといえよう。
監督はジョニー・デップについて「初めて彼の声を聴いたときには驚いたよ。難しい曲を自分流に、個性をこめて表現して、歌ってくれた」とコメント、見どころが彼の歌であると語った。また、「彼は毎回ちがうキャラクターを演じてくれ、別人となって現れる。それは私にとっても、制作スタッフにとってもエキサイティングなこと。そうやって、芸術作品を作ることになるので、私には特別な人だ」と語った。
対してデップは、「ティムと仕事ができるのは、私にとって本当に楽しい体験だ。最近の映画製作会社は芸術をサポートしていないところが多いけれど、彼はアーティスト。妥協しないし、ビジョンがあって、今では稀有な存在だと思う」と監督を評し、二人の信頼関係の深さを見せた。
大勢の報道陣が集まった会場は緊張感に包まれていたが、舞台上はいたってリラックスしたムード。作中に登場するいわくつきの"ミートパイ"に関連して、自身の味について聞かれたデップは、「カエルの足かな。ちょっと苦そうな」と笑って答えた。
また、米・脚本家協会のストの影響で中止となった、ゴールデン・グローブ賞の授賞式について聞かれるたデップは「がっかりしている」とコメントした。
あらすじ
無実の罪で投獄され、妻と娘を失った男が、スウィーニー・トッドと名前を変え、15年ぶりにフリート街へ帰ってきた。再開した理髪店で、彼は、剃刀を手に持ち、自分を陥れた張本人・ターピン判事へ復讐するべく、その機会をうかがいながら、罪のない人々まで次々と殺していく。死体の処理に困った彼は、パイ店のミセス・ラベット(ヘレナ・バナム=カーター)と協力して、死体を"ある物"へと変えていく。そして、ついにターピンに手をかけるに至ると、事態は意外な結末を迎える……。
日本では1月19日(土)より丸の内ピカデリー1他全国ロードショー。
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撮影:保坂洋也