インドのタタ自動車(Tata Motors)は、ニューデリーで開催中の第9回モーターショー「Auto Expo」にて、超低価格販売を目指して開発が進められてきた小型乗用車「NANO」の正式発表を行った。

より一般庶民にも身近な車となるようにとの願いから、"People's Car"の愛称で開発されてきたNANOは、カラフルなデラックスバージョンと、必要最小限の装備に絞ったスタンダードバージョンの2モデルを用意。ともに今年下半期中の発売が予定され、スタンダードバージョンの販売価格は、ちょうど1ラーク(10万)インドルピー(約27万8,000円)の販売価格に設定されるという。

NANOデラックスバージョン

同社会長のRatan N. Tata氏は「これまでインドにおいて、家族皆で二輪車に乗っている様子を目にしてきた。子どもを前に座らせつつ、父親がスクーターのハンドルを握り、赤ちゃんを背負った母親は、父親の後部にしがみついて乗っているといった状況だ。もっと安全な、全天候型の移動手段を、低価格で提供できないだろうかとの願いに動かされ、全社一丸となって約4年間を開発に費やした。NANOは、まさしくインド国民のためのPeople's Carである」とコメントし、NANOを初公開した。

NANOスタンダードバージョン

4ドア・後輪駆動のNANOは、全長が約3.1m、全幅が約1.5m、車高が約1.6mという、日本の軽自動車並みのコンパクトカー。排気量は623ccで、2気筒エンジンを搭載し、最高出力は33PSになるとされている。Tata氏は、実際に10万ルピーで発売できるように全力を尽くすことを、改めて強調しつつ、安全性能や低排出ガスの面でも、高い完成度に仕上げられるとアピールした。

10万インドルピーの販売価格達成のため、必要最小限の装備に抑えられる