――最終報告書では、私信など特定人間の通信を除いた、不特定の人によって受信されることを目的とするホームページなどの電気通信の送信である「オープンメディアコンテンツ(仮称)」の分野で、全ての人が遵守すべき最低限の配慮事項を定める方針を示しています。

最終報告書では、不特定の人によって受信されることを目的とするホームページなどの電気通信の送信である「オープンメディアコンテンツ(仮称)」の分野で、全ての人が遵守すべき最低限の配慮事項を定める方針を示している(出典:総務省資料)

法的に「通信の秘密」という場合、(1)通信内容を第三者に漏らしてはいけないといった通信の中身に関するもの、(2)いつだれが通信したかなど通信の外延情報に関するもの、の2種類があるといえます。公開されたホームページなどは、内容に関しては公然のものですから、「通信の秘密」といった場合、(1)の意味は薄れても、(2)の外延情報については残ることになります。その意味では、両者がセットになって当然だった従来の「通信の秘密」の理解からすれば、かなり特殊であることも事実です。

一方、最終報告書で「オープンメディアコンテンツ」とされているホームページなど通信の中身については、最終報告書が指摘しているとおり、「表現の自由」の問題があります。真ん中のコア部分に「表現の自由」があって、その外側を「通信の秘密」が取り囲んでいるというドーナツのような状態にあると考えていいのではないかと思います。従来の状況から考えれば、とても考えつかないような状況になっているといえます。

外延情報に関する「通信の秘密」に関しては、IPアドレスまでは分かっても、それが誰なのかは、担当する事業者にしか分からないようになっていますので、そこが「通信の秘密」ということになります。このため、「オープンメディアコンテンツ」であるからといって、「通信の秘密」がすべて排除されるという構造ではありません。より精密に分析することが必要です。

「通信の秘密」の適用状況が不明確なケースも

現行の通信法制は、無線に関する電波法と、有線に関する有線電気通信法が、基本法の地位を占めており、その上に事業法として電気通信事業法がのっかっている形になっています。

「通信の秘密」との関係で、現在の状況に合わせて分かりやすくいうと、NTTやKDDIなどの部分が電気通信事業法、構内無線LANは電波法、構内有線LANは有線電気通信法、となっています。両者の間にはルーターやサーバーその他の機器類が何重にも連なっており、「通信の秘密」といっても、どこまでが電気通信事業法の適用範囲で、どこまでが電波法や有線電気通信法の適用範囲か、必ずしも明確でないケースが出現しているといった状況にあります。