米ラスベガスで開催中の「2008 International CES」では、テレビに映す映像を撮影するビデオカメラも来場者の注目を集める製品の1つ。いくつかの製品をまとめた。
顔検出を動画にも - ソニーと松下電器産業
昨年のデジタルカメラのトレンドの1つは顔検出機能だった。人の顔をカメラが検出し、ピント合わせや露出補正、カメラによってはそれを発展させて笑顔を検知してシャッターを切る機能も搭載していた。
その顔検出機能をビデオカメラにも応用したのがソニーと松下電器だ。両社が初めてというわけではないが、これからビデオカメラでも顔検出がトレンドになりそうだ。
ソニーは、出展していたHDR-SR12、HDR-SR11、HDR-SR10の3つのHDD内蔵ビデオカメラと、DVD+メモリカードに記録するHDR-UX20、HDR-UX10の5製品に顔検出機能を搭載した。
いずれも液晶モニタに映る人物の顔8人分を検出でき、AF合わせ、露出、肌色補正を行う。静止画撮影をする場合はフラッシュコントロールにも対応する。人物の顔を検出することで、ピントが背景と人物を行ったり来たりすることもなく、より安定した画質で撮影できるようになりそうだ。
これらのビデオカメラのもう1つの大きなポイントは、1,920×1,080のフルHDでの撮影に対応したという点。現在国内で登場済みの同社製品は「フルHD」には対応していなかったため、これは大きな進化だ。画像処理エンジンはBIONZ、撮像素子は「Exmor」技術を組み込んだクリアビットCMOSセンサを搭載。センサの画素数はSR12/11は570万画素(静止画では1,020万画素)で、ほかのモデルは240万画素。
SR12は120GB、SR11は60GB、SR10は40GBのHDDをそれぞれ搭載。UX10はメモリカードとDVDへ映像を記録する。1440LP(1,440×1,080)モードでDVD +R DLメディアに1時間記録できる。UX20は8GBの内蔵メモリを備え、1920 HDモードで約1時間の映像が保存可能。
レンズはカール ツァイス・バリオゾナーT*レンズで、光学式手ブレ補正のSuper SteadyShotを搭載。いずれもDolby Digital 5.1chサラウンドの録音をサポートする。
価格はSR12が1,400ドル、SR11が1,200ドル、SR10が1,000ドル、UX20が1,000ドル、UX10が800ドル。発売はいずれも3月。
松下電器は、9日に国内発表もされた「HDC-SD9」「HDC-HS9」の2モデルに顔検出機能を搭載。1/1.6型3CCD 56万画素×3、光学10倍ズームLeica Dicomarレンズ、2.7型ワイド液晶、Dolby Digital 5.1chサラウンド録音など、基本的な性能は変わらず、SD9がSDカードへの記録、HS9がそれに加えてHDDへの記録にも対応。
松下の顔検出は、顔を検出すると自動的に露出を補正、肌色補正も行う。同時に検出できる顔の数は5人分だ。そのほか、もちろん1,920×1,080のフルHD記録にも対応する。
これ以外で目を引いたのは、防水防塵・耐衝撃性能を備えた「SDR-SW20」。ビデオカメラとしては1/6型340万画素CCDに光学10倍ズームレンズを搭載、フルHDの撮影にも対応しないモデルだが、IPX8相当の防水性能を備え、5フィート(約1.5m)までの水中撮影に対応。4フィート(約1.2m)の高さから落下しても撮影が行える耐衝撃性能も確保。またIP5X相当の防塵性能も備えている。
キヤノンもSDカードにフルHD記録
顔検出機能は搭載されないが、キヤノンはSDカードにフルHD記録を行うビデオカメラを発表、展示している。SDカード記録に対応したのは「VIXIA HF10」と「VIXIA HF100」の2モデル。両モデルとも1/3.2型CMOSセンサを搭載し、画素数は330万画素。レンズは光学12倍ズームレンズを採用する。モニタは2.7型ワイド液晶を搭載するなど、基本スペックは同等だ。
大きな違いはHF10の「Dual Flash Memory」。HF10にはSDカードに加えて内蔵メモリにも録画することができるようになっているのだ。内蔵メモリは16GBで、HD映像を6時間まで記録できるという。これによって、SDカードがなくても撮影ができるほか、カードと併用してより長時間の記録ができるようになる。
また、両モデルとも通常の「24pシネマモード」に加え、「30pプログレッシブモード」での撮影にも対応。「スポーツやニュースのようなプロの現場で使われ、速い動きもクリアに撮影できる」としている。
このほか同社はminiDVにHD映像を記録できる「VIXIA HV30」も発表。さらにDual Flash Memoryモデルとして「FS11」「FS10」、SDカード記録の「FS100」、miniDVの「ZR950」「ZR930」「ZR900」、DVDの「 DC330」「DC320」「DC310」といった製品も発表。これらの製品はフルHD撮影には対応しないより廉価版の機種となる。