米国時間の1月7日にBlu-ray Disc Association がプレスカンファレンスを開催した。4日(米国時間)にWarner Home VideoがBlu-ray陣営へのサポートを表明。有利な立場となったBlu-rayはカンファレンスで、次世代DVDへの移行および市場拡大の戦略を説明した。勝利宣言こそ出なかったものの、"Blu-rayこそが次世代"という状況を印象づける内容だった。
米国時間の1月7日にBlu-ray Disc Association がプレスカンファレンスを開催した。例年、CESでは、Blu-ray Disc AssociationとHD DVD Promotion Groupが、それぞれのプレスイベントで各々の規格のメリットをアピールしあっていたが、今月4日(米国時間)にWarner Home VideoがBlu-ray陣営へのサポートを表明。それを受けてHD DVD陣営がCESでのプレスカンファレンスを中止したため、今年はBlu-ray陣営の独壇場になった。注目のBlu-rayのプレスカンファレンスで語られたのは、次世代DVDへの移行および市場拡大の戦略。勝利宣言こそ出なかったものの、"Blu-rayこそが次世代"という状況を印象づける内容だった。
米国におけるBlu-rayとHD DVDのソフト販売シェア(Home Media Research調査)。2:1の比率に迫ろうとしている |
世界規模の市場シェアは、ソフト販売がBlu-rayの66%に対してHD DVDが34%。ハードウエア販売はBlu-rayの85%に対してHD DVDが15%(GfK Mediacontrol調査) |
Blu-rayとHD DVDの規格争いから消費者が次世代への移行を控えているという指摘もあるが、VHSからDVDへの移行の時も最初の1~2年は現在の次世代DVDへの移行とほぼ同じペースだったという。DVD同様に次世代DVDも3~4年目から一般消費者への普及が進むと考えれば、2008年後半から初期アダプター以外の消費者層に浸透し始め2011年頃までが最初の成長期になる。米国では放送デジタル化にともなう「HDTVの普及が追い風になる」とTwentieth Century Foxのリサーチ&テクノロジ担当のDanny Kaye氏。
2008年のBlu-ray再生機の販売は07年の約60%増を見込んでいる。なお07年に販売されたBlu-rayディスク対応機器は、再生プレーヤーが約50万台、プレイステーション3(PS3)が約300万台だった。08年は再生プレーヤーが約200万台、PS3が約400万台と予測する。この数字を見ると、PS3がBlu-rayの普及に大きく貢献しているのが分かる。逆に、このままBlu-rayが次世代DVDの規格争いの勝者となれば、PS3の今後の成長を後押しする材料になりそうだ。
次世代DVDの今後の課題は移行の喚起だ。過去2年の間、規格争いが話題になったものの、次世代DVDのクオリティを実際に体験したことのある消費者は少なかった。現行のDVDで十分という消費者の考えを変える必要がある。Sony Pictures Home EntertainmentのワールドワイドプレジデントのDavid Bishop氏によると、米国でPS3に「スパイダーマン3」のBlu-rayディスクをバンドルするプロモーションは、消費者が箱を開けたときにPS3が最新世代のゲーム機であり、同時にBlu-rayプレーヤーであるのをアピールする狙いがあったという。実際にPS3ユーザーでBlu-rayを初体験したユーザーの感想が口コミで広まるという効果が確認されているそうだ。
Sonyだけではない。2007年を通じてBlu-rayはHDTVとBlu-rayプレーヤーの組み合わせをアピールするプロモーションを展開。またWalt Disney Studios Home EntertainmentがPanasonicと共に、ショッピングモールなどで消費者にBlu-rayを体験してもらうプロモーションツアーを行うなど、グループ全体で次世代DVDに移行すべき理由を消費者に伝えてきた。その結果、2006年のクリスマス時点では25%程度だった米消費者のBlu-rayの認知度が現在は80%近くまで向上しているという。
今後はBlu-rayの豊富な機能も消費者の移行を促すポイントになるとBishop氏。Sony Pictures Home Entertainmentは「Resident Evel:Extinction」のBru-rayディスクにPicture-in-Picture機能を搭載したほか、双方向機能のBD Liveの準備も進めている。さらに年内にはBlu-rayディスクのムービーをPS3からPSPに転送して持ち出せるようにする機能の投入を計画している。
Q&Aでは、ParamountとUniversalがBlu-rayを採用しない状況が今後も続いたら、どのようにして消費者を納得させるか、という質問が投げかけられた。LionsgateプレジデントのSteve Beeks氏は「小売店がその役割を担う」と回答した。仮に小売店がBlu-rayを支持するならば、それは消費者の声を反映した結果でもあると述べた。
なおWarner Bros. Home VideoのRon Sanders氏によると、WarnerのBlu-ray支持の判断は米国のみが対象ではない。各国の状況を問わずに世界的にBlu-rayのみを採用するという。