米国ラスベガスで開幕する「2008 International CES」の前日イベントの定番「Digital Experience!」が6日(現地時間)に開催された。前々日となる5日(同)のイベント「CES Unveiled」に続いて、多くの企業が小さなブースを出展し、食事と酒を楽しみながら説明するお祭り的なイベントだ。

Alienwareのブースで出展されていたのがリアプロジェクションを使ったPCディスプレイ。見た目のインパクトからしてひと味違う。解像度は2,880×900と非常に細長く、しかもディスプレイ自体が湾曲しているため、ちょっと大げさに言えばHMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)のように視野全体がディスプレイになったような錯覚を起こす。

Alienwareのディスプレイ。外観からして特殊

ブースのスタッフによれば0.02ms以下という応答速度もかなり速い。もともとAlienwareはハイエンドのゲーマー向けPCを提供している企業で、Digital Experience!にはCore 2 Extreme×2、NVIDIA GeForce 8800 Ultra(3-way SLI)またはDual ATI Radeon HD 3870が搭載できる「Alienware ALX」などを展示しており、このディスプレイもゲーム用ディスプレイとして展示されていた。

とはいえ、ゲーマーだけでなく動画編集の現場などでも活用できるとしており、今年後半には製品化を予定しているという。価格に関してはまだ決まっていないとのことで明らかにはされなかった。

PCとディスプレイをUSBで接続してマルチモニタ環境を構築できるUSBグラフィック技術を開発するDisplayLinkは、通常のUSBケーブル経由のマルチモニタに加え、Wireless USBを使ったマルチモニタのデモを行っていた。同社自体は技術の会社で、実際の製品化はパートナー企業が行うことになっており、たとえばSamsungの22インチワイド液晶「SyncMaster 2263DX」は7インチの液晶が付属、USB経由でマルチディスプレイにしてSkypeのようなアプリケーションを常時表示しておく、という使い方を提案している。これに同社の技術が使われているほか、SonyのVAIO Universal Docking Station」、Toshiba「dynadock USB Docking Station with video port」にも採用されたそうだ。

こちらはUSBケーブルでマルチモニタ

ドライバは必要だが、手軽にマルチモニタ環境が構築できるうえ、DVDレベルの映像再生にも対応、最大6台まで接続してマルチモニタ環境が作れ、「家庭でも6台のディスプレイを積み上げてディスプレイタワーが作れる」(ブースの担当者)そうだ。

Wireless USBを使うことでケーブルレスのマルチモニタ環境も実現。ただ、現時点ではPCとディスプレイ双方ともアダプタが必要

CES UnveiledではiPodドックを備えたスピーカー製品が多く出展していたが、Digital Experience!でも同様にiPodドック対応製品が出展されていた。JVCが出展していた液晶テレビのPシリーズ新製品は、テレビ下部にiPodドックを搭載。iPodを接続してiPod内のビデオをテレビに出力して再生することができる。テレビ画面を見ながら、テレビのリモコンでiPodの音楽を選んで再生する、ということも可能。

JVCによるiPod対応テレビ

こちらがリモコン。きちんと「iPod」ボタンがある

テレビ画面にiPod内の写真を表示する、音楽再生中にアーティスト名などを表示することもできるほか、付属のテレビ用リモコンには円形のキーパッドを備え、iPodのコントローラーホイール風に操作することができる。

3つのHDMIポート、2つのコンポーネント入力、1つのSビデオ入力、S/PDIF入力、アナログ出力を備え、iPodドックに置いたiPodやテレビの音を家庭のステレオシステムで聴くこともできる。32型が768p、42/47/52型が1080p対応となっており、32/42型が3月、47型が4月、52型が8月に米国で発売予定。展示されていたのは47型で、価格は1,300ドル以下になる、とのことだった。

「NX-PN7」は、前面に2つのiPodドックを備えるスピーカーシステム。2台のiPodを接続して切り替えて利用し、音楽を聴けるほか、2台の充電もできる。米国では4月の発売で、価格は149.95ドル。

NX-PN7

IntelのブースではUMPCが展示されていたが、その中で注目はMenlowプラットフォーム搭載の製品。Menlow自体がリリース前のプラットフォームであるため、現時点ではあくまで開発中のものだが、USI、aigo、clarion、lenovo、DIGIFRIENDS、東芝といったメーカーがMenlow世代のUMPCを持ち寄っていた。「詳細は(CES開幕後の)ブースで」という話だったので、あまり詳しい話は聞けなかった。

左上からUSI、aigo、clarion、lenovo、DIGIFRIENDS、東芝