2007年、矢継ぎ早に新製品、新サービス、新技術を発表したアドビ システムズ。今年2008年はそれらが融合し、大きなうねりとなって業界全体をリードすると予想されている。そこでアドビ システムズ代表取締役社長ギャレット・イルグ氏に2008年の戦略と日本市場での取組みについて聞いた。
2007年は地ならしの年だった
――2007年を振り返ってみると、多くの製品、サービス、技術を発表されましたが、全体としてどんな一年だったでしょうか。
2007年は、特に日本においてRIA(リッチ・インターネット・アプリケーション)の存在が確立できた年だと思います。これはもともと2005年にアドビがマクロメディアを買収したことから端を発しています。RIA、Web2.0、SOAなど、いろいろな技術から省略された言葉が出てきましたが、一般ユーザー側からするとこれらは何かがわかりませんでした。2007年、アドビはパートナーやお客様をサポートしながら、こうした省略形の言葉を定義していきました。
その最初の定義づけがCS3のリリースでした。この統合スイートを提供することによって、開発からデザインまで一つのプラットフォームで展開できるようになりました。これはいままでのソフトウェア会社が提供してきたものとは大きく違っています。なぜかというとFlash、PDFという2つのユビキタスなプラットフォームをアプリケーションを使って統合させているからです。これによりパートナーやお客様は、デジタルの環境において素晴らしいエンゲージメント体験を得ることができます。その結果、お客様はRIA、Web2.0、SOAとは何かが具体的に見えるようになってきました。つまり簡単に使え、シンプルでパワフルになったワークフローが得られ、体験のエンゲージメント性も高い。しかもデバイスの制約がなくクロスプラットフォームの環境でこれらが享受できるとわかるようになりました。CS3はこの分野において大きな役割を果たしています。
2007年度第4四半期の売上が9億1,120万ドル、四半期の売上として過去最高を記録するなど、アドビとしても大きな結果を出す年になりました。この一つの理由として日本の市場がデジタル環境にすばやく移行していることが挙げられます。日本のITは何年にも渡ってバックエンドやインフラ部分に焦点を置いてきましたが、現在は企業またはシステムインテグレータが、ユーザー体験およびインタフェースに目を向けるようになりました。たとえばFlexやLiveCycleのようなツールを用いれば、インターネットにおいてエンゲージメント性の高いものが作れ、ワークフローを管理していくことができます。