Skypeの大成功 - 「タイミングがよかった」
Skypeでは、KaZaaで研究したPtoPを通信に適用した。ここでもスタートはやはり、技術からということになる。「この技術をつかって何ができるのか。どのように変わるのか」。
だが、人気商品は運とカンだけでは生まれなかった。Skypeのアイディアはすぐに生まれたものではなく、何時間ものブレーンストーミングを何回も重ねた結果だという。そして最終的にたどり着いたのが音声通信。「だが、SkypeはVoIPを発明したのではない」とFriis氏。ここから先は、ビジネスだ。
実際、Skypeを開始する当初、MSN Messengerではすでに低クオリティの音声通話機能を提供していた。また、VocalTecなどのVoIP企業は1990年代後半から事業展開している。「Skypeは使いやすくパッケージしただけ」。これが、当初普及し始めたブロードバンドというタイミングもあって、ヒットした。
苦労話もある。資金繰りだ。Skypeはローンチまでサービス構築に1年以上を費やしたが、Zennstrom氏とFriis氏の頭を悩ませたのは資金調達だった。しかし、商品が実際に登場すると資金調達は容易になった。Skypeの資金調達難については、Zennstrom氏も今年の「ETRE 2008」で語っている。
欧州のベンチャー企業がリリースした「Skype」は、その後世界的ヒットとなった。「Skypeは言語の問題があまりなかった。製品をWebにあげると、ユーザーはそれをダウンロードするだけ。ダイアルアップ環境でもできる」とFriis氏。実際、ポーランド、ブラジルといった予想外の地域で人気が出たという。ポーランドでは、ブロードバンドユーザーの90%以上がSkypeをインストールしているという。
そのSkypeをどうしてeBayに売却したのか――この問いにFriis氏は苦笑した後、「スタート当時から売却しようと思っていたわけではない」と語りだした。「エグジット戦略は何か――必ずしも売却する必要はなく、安定したスタンダロン企業になるという選択肢もある。Skypeもそうだったと思う」「だが、(Skypeは)急に注目を集めてしまった。そして、どうするべきかを緊急に見定めなければならなくなった」とFriis氏は言う。