2007年も残すところあとわずか。今年公開されたアニメ映画のなかでも、とくに印象深い作品と言えば、やはり『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』。2008年公開予定の続編『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』も待ち遠しいところだが、じつはエヴァンゲリオンの映像プロジェクトがもうひとつ進められている。それはオフィシャルデフォルメ『ぷちえう゛ぁ』のアニメ化。

ポップでキュートなシンジたちがねるふ学園を 舞台に楽しい学園生活を繰り広げる『ぷちえう゛ぁ』。 キャラクターデザインは濱元隆輔さん

(c)ガイナックス・カラー

おなじみのキャラクターたちがかわいい2頭身になったこのシリーズは、すでに4コママンガ、グッズなどが展開中だが、その次に控えているのが3DCGによるショートアニメ。現在1本目「お昼休みの時間」がバンダイチャンネルにて配信(2007年12月26日まで)されており、2本目以降も2008年の公開を目指して続々と制作されている。その制作現場に立ち合うことができたので、今回はその模様をお届けしたい。

『ぷちえう゛ぁ』の演出を手がけるのは、ナンセンスなギャグ作品が持ち味のCMディレクター、三木俊一郎監督。「3年C組ドラゴン先生」などのファンタ学園CMシリーズ、ロックと小津映画を組み合わせたT.M.Revolutionの『魔弾~Der Freischutz~』PVといった作品に見覚えのある人も多いのでは? 一方、CG制作はサントリー「バブルマン」CMや、MTVのショートアニメ『ウサビッチ』のカナバングラフィックスが担当。同社は三木監督が共同演出した映画『ナイスの森』でもCGパートを手がけ、今回の『ぷちえう゛ぁ』でも再びタッグを組むこととなった。

こちらがカナバングラフィックス。『ぷちえう゛ぁ』と並行して『ウサビッチ』も作業中
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資料棚も見せていただきました。炭酸飲料「バブルマン」のCMを担当しただけあって、バブルマンのボトルも。あとはフィギュアとかビデオとか『ジョジョ』の単行本とか……
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今回お集まりのみなさん。左から3Dアニメーターの南敬介さん、熊本周平さん、3Dレンダリング担当の太田洋康さん、そして演出の三木俊一郎監督
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12月某日にカナバングラフィックスで行われたのは、三木監督による映像チェック。全体の作業量からすればまだ3分の1程度とのことだが、アニメーションの基本部分は組み上がっているので、映像をリピートさせて修正部分を洗い出していく。口頭での指示はもちろん、実際にポーズを取ったり、イラストを描いたりと三木監督からの指定の方法はじつに様々。ユニークなのは、全体の流れやキャラクターの演技を実写で撮影した「ビデオコンテ」と呼ばれる映像で、今回の制作過程ではこのビデオコンテを基にアニメーションがつけられている。「僕はアニメのような細かい絵コンテまで描けないので、『人間でやっちゃったほうが早い』ということでビデオコンテを作ってます。出演はウチの社員です(笑)」と三木監督。実写畑の三木監督ならではのアプローチと言える。

このビデオコンテには、あるキーマンの姿も。それは『新劇場版』では総監督助手として庵野秀明総監督を支えている、元CMディレクターの轟木一騎氏。この轟木氏こそが、三木監督に『ぷちえう゛ぁ』の演出をオファーした人物であり、映画『ナイスの森』ではなんと三木監督とコンビを組んで役者としても怪演を見せている。その存在感は今回のビデオコンテでもいかんなく発揮され、「ぜひビデオコンテも特典映像に!」とこちらがつい思ってしまうほどの熱演ぶり。こうした準備段階での熱量がCGキャラクターの生き生きとした動きに反映されていく。

三木監督、チョークを投げるミサト先生のポーズを演出中。「もうちょっと前のめりな感じで」
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先ほどの画面はビデオコンテではこんな感じ。こちらのミサト先生(の中の人)が轟木一騎氏
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ビデオコンテには三木監督も出演。左の毛むくじゃらも気になりますが、コンテは完成形のイメージを伝えることが最も重要なので、こうしたぬいぐるみでもあるのとないのとでは大違い
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先ほどのビデオコンテを基に組んでみたもの。人物の配置など、そのまま活かされているのがわかる
(※画像は制作途中のものです)
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轟木氏、さらに熱演中。ビデオコンテ段階から本気で笑わせるのが三木監督流。実際の画面では……
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こちらのエヴァ初号機をデフォルメした「エヴァンチョー」。何を見たのかエヴァンチョー、驚きのあまり暴走!?
(※画像は制作中のものです)
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