フィンランドのNokia Siemens Networksは19日(現地時間)、2.6GHz帯を利用したマルチユーザー環境でLTE(Long Term Evolution)のフィールド実験を行った結果、最高伝送速度173Mbpsを記録したことを発表した。実験はドイツ・ベルリンで行われ、実際の都市部で、かつ複数のユーザーが接続する環境で行われたものとしては初のLTEフィールド実験だったという。
実験は、LTEの先進的開発で知られる独ハインリッヒ・ヘルツ研究所(Heinrich Hertz Institute:HHI)と共同で行った。2.6GHz帯を利用し、現行の基地局にLTE基地局機能を取り付ける形で行った。
OFDM(直交周波数多重方式)変調器のほか、複数のアンテナによりデータの送受信を効率化するMIMO(Multiple Input Multiple Output)技術や、マルチユーザー環境でユーザートラフィックをスケジューリングするアルゴリズムなどを利用した。これにより、ネットワークキャパシティを最適化できるという。
その結果、データ伝送速度は最高で173Mbpsに達した。基地局から数百メートル離れたところでも高いスループットを維持し、100Mbps以上の速度を実現したという。Nokia Siemensでは「3GPP標準でLTEの性能要件を満たすことができることを証明した」としている。また、既存の基地局を利用してLTEを実装できることを示すものとも述べている。
LTEは、標準化団体3GPPで標準化が進められている無線通信方式。W-CDMA、HSDPA/HSUPAの後継となるもので、第3.9世代の移動通信技術と呼ばれ、第4世代の有力候補ともされている。
これらの無線通信技術は、固定系から派生したモバイル技術であるモバイルWiMAXと競合するとも見られている。LTEと同じOFDM/MIMOを利用し、LTEと比較されることが多いモバイルWiMAXは、速度は約70MbpsとLTEよりやや劣るが、すでに商用サービスがはじまりつつある。さらに今年10月、国際電気通信連合(ITU)からIMT-2000の1方式として承認されたことで、大きな後押しを得ている。
Nokia Siemensでは、LTEは2010年にも実装可能になるとしている。