米Viacom傘下のMTV Gamesは12月19日(現地時間)、著名映画プロデューサーのジェリー・ブラッカイマー(Jerry Bruckheimer)氏と組んで新作のオリジナルビデオゲームの制作に取り組む提携発表を行った。これまで『パイレーツ・オブ・カリビアン』や『CSI:科学捜査班』など、映画やTVドラマの世界の作品プロデュースで名高い同氏だが、ゲーム業界への進出は初となる。また今回の提携に際し、ブラッカイマー氏はMTV Gamesとともにゲーム制作を支援する専門スタジオを開設し、新作ゲームのコンセプトなどを生み出すゲーム制作のエキスパートやアーティスト、作家らによるチームを編成する。
『ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記』のPRで来日した際のブラッカイマー氏(撮影:石井健) |
ブラッカイマー氏は米Paramount Pictures(現在はViacom傘下)と組んで20年来にわたってヒット作を作り続けている著名プロデューサーの1人。その作品群はシンプルなストーリーに派手なアクションと特殊効果を主体とするなど、典型的なハリウッド映画の特徴を持つ。これまでにマイケル・ベイ(Michael Bay)氏ら複数の監督陣とペアを組んで、数々のブロックバスター(大ヒット)映画を世界中に送り出している。著名な映画作品は『アルマゲドン』、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなど。今月21日に2作目が全世界同時公開される『ナショナル・トレジャー』シリーズも同氏のプロデュース作品だ。また近年ではTVドラマの世界にも進出しており、『CSI:科学捜査班』を始めとしたCSIシリーズのプロデュースも手がけている。これら映画/TV業界で見せた同氏の手腕をゲーム業界に持ち込み、新たなヒット作の登場に期待するのが今回の提携の狙いだ。
「ビデオゲームは、これまでわれわれがいつも挑戦してきた"すばらしいストーリーを伝える"ということを実現する、新しい創造的な媒体となりつつある。しかも、ストーリーの展開をプレイヤー自らがコントロールできるという点でユニークだ。MTV Gamesとの協業で新しいオリジナルのゲームストーリーを作り、ゲームという媒体の革新を模索していこう」とブラッカイマー氏はコメントしており、第3のメディアでの活躍に自らの期待を寄せる。
日本では斜陽化の懸念も囁かれるビデオゲーム業界だが、世界最大の市場である北米では引き続き売上の2桁成長が続いており、エンタテインメント業界からは新たなメディアの1つとしてさらなる注目を集めつつある。Viacom傘下のMTV Networksは今年8月、同社のインタラクティブエンタテインメント部門とビデオゲームビジネス部門のソフトウェア開発と配信において、今後2年間で5億ドル(約550億円)規模の投資を行うと発表している。また同社は2006年に『Rock Band』などのヒットゲームを開発する米Harmonixの買収を行うなど、ゲーム開発スタジオを対象にしたM&Aを積極的に推進し、ビジネスの強化を図っている。今回のブラッカイマー氏との提携もまた、こうしたゲーム事業への積極投資の一環となる。