米Microsoftは12月13日(現地時間)、HD DVDコンテンツの動作エミュレーション環境を提供する「Xbox 360 HD DVD Emulator」をリリースした。外部ストレージに保存されたマスターアップ直前のデータをエミュレータにかけることで、映像コンテンツの再生テストのほか、HDiのインタラクティブ動作の挙動を確認できる。テスト時間の短縮や実際のHD DVDディスク焼き付けにかかるコストを低減し、ライバルのBD陣営にコンテンツの充実度で対抗する構えだ。
今年の年末商戦は東芝が99ドルのHD DVDプレイヤーを北米市場に投入したことで、プレイヤーの普及面で大きな追い風を受けたHD DVD陣営だが、一方でコンテンツの充実度ではライバルに対してやや苦戦を強いられている。HDコンテンツは高精細でより多くのデータが取り込める反面、複雑性や高コスト性などで従来のDVDより制作における難易度が高い。HD DVD Emulatorはコンテンツのオーサリングにかかるプロセスやコストを軽減し、ラインナップの面からも陣営を後押しする狙いがあるとみられる。Microsoftでは7~11月にかけて40以上のスタジオを対象に同Emulatorのベータテストを実施しており、テスターから「1ヶ月あたりのディスク消費量が200枚から50枚へ、制作時間が100時間低減」といった具体的な成果が得られたと報告している。
Emulator実行に必要な環境は、Xbox 360本体とオプションのHD DVDプレイヤー、Xbox Liveアカウントの3つで、Xbox Live経由でログインして本体のHDD上に専用ソフトウェアをダウンロードする。セットアップ完了後は、ネットワーク上のストレージや外部HDD、光ディスクドライブ上のデータをEmulator経由で再生し、その挙動を確認できる。またWindows XP SP2と.NET Framework 2.0以上がインストールされたPCをXboxに接続することで、テスト工程で得られたログの記録が可能になる。基本的にはXbox 360向けのHD DVDコンテンツをテストするソフトウェアだが、それ以外のHD DVDプレイヤーを対象としたテストも可能なオプションが用意されている。
Emulatorのライセンス費用は2,999ドル。ライセンスの購入方法や詳細の説明はHD DVD Emulatorの専用解説ページに掲載されている。