米IDCは、世界55カ国を対象にした最新PC市場調査レポート「Worldwide Quarterly PC Tracker」の発表を行った。ノートPCの売行きが過去最高ペースで伸びてきており、PC市場の活性化につながっている。

同レポートによれば、今年第4四半期(10~12月期)における世界のPC出荷予測台数は、前年同期比16.7%増を記録。昨年後半には、Windows Vistaの一般発売などを控え、PC市場の成長速度は大きく減速しており、昨年第4四半期の世界PC出荷台数は、前年同期比7.9%増にとどまっていたとされる。

しかしながら、いよいよWindows Vistaがコンシューマー向けに世界で発売された今年は、PC市場の成長率も好反転。2007年通年の世界のPC出荷予測台数は、約2億6,980万台となり、2006年の年間出荷台数となる2億3,540万台から14.6%増の伸びを見込むとされている。昨年は、前年比10.1%増の伸びで、かろうじて2桁成長率を維持していた。

今年のPC市場の最も顕著な特徴は、ノートPC販売の急拡大。今年第3四半期には、2003年や2005年に記録した過去最高の前年同期比35%増をも上回る、前年同期比37%増のノートPC出荷台数を達成したとされ、クライアントPC販売の約45%をノートPCが占めるに至ったという。エマージング市場での需要拡大により、1桁ながら出荷台数の伸びを継続しているデスクトップPCとは対照的で、ノートPCとデスクトップPCの世界出荷台数の伸び率の差が、初めて33ポイント以上に開いたようだ。

同社パーソナルコンピューティング調査部門を率いるRichard Shim氏は「ノートPC出荷増の特筆すべき要因としては、販売価格の低下、デスクトップPCの性能と遜色ないパフォーマンス向上、ワイヤレス通信機能の改善、小売販売チャンネルでの幅広いラインナップなどが挙げられる。一方で、デスクトップPCも、省電力性能や省スペースデザイン、ゲーマー向け高性能機種やオールインワンタイプの新製品などをアピールして、今後も市場シェアを確保していく可能性がある」とコメントした。

なお、地域別に見るならば、今年の年間PC出荷予測台数が好調だったのは、日本を除くアジア太平洋地域、欧州、中東、アフリカを含むEMEA地域、南米地域で、いずれも前年比20%増を超える出荷台数を記録する勢いで伸びているという。