小池氏はIT導入の成功のためのポイントについて「組織全体の業務とシステムを可視化し、ビジネス要件ありきで行うこと。それに加え、業務とITのバランスを取りながら全体を最適化するという視点で、理想的な情報化投資を進め、効果を可視化した測定を行うことも重要になる」と強調し、そのための具体的なプロセスを紹介した。
それによると、第一段階ではまず、ビジネス要件として何を達成するかを明確化を行い、次の段階として、現行業務を把握し、ビジネス戦略とのギャップを分析。さらに、次のステップでは業務プロセスとIT環境を整合性を確保しながら見直しが図られる。具体的には、業務プロセス面では、業務改革の企画/実施について難易度と効果の対比や優先順位の設定、改革後の業務フローの作成を行い、IT面では基礎モデルを作成し、現行システムとの整合性を確保しながら新たなIT構想の立案を行う。そして最終段階では、業務改革とIT導入の効果測定を行うことが重要だと説明した。
富士通ビジネスシステムは、可視化経営に対するさまざまなコンサルティングやソリューションを展開しているSI(システムインテグレーション)企業。同社では2003年から無償のコンサル提案サービス「フリーコンサルティング」を行っており、2006年度は約500件にのぼる企業がシステム導入時に同サービスを利用した実績を持つ。同サービスは、現状の課題に対してITを活用して直接的に解決する従来のコンサルティング手法とは異なり、課題を発生させる根本的な原因を追求し、再発を防ぐ解決策を策定するのが特徴だ。
同社のソリューション提案のプロセスは、まずはこのフリーコンサルティングにより、戦略の可視化を行い、グランドデザイン(改革実行計画)の策定を行う。さらに第2段階ではシステムの可視化を行う改革施策に適応したソリューションの提案や、時期情報化構想として業務を活動ごとに分解してそれぞれの人件費を算出する"ABC分析"、その結果に基づきIT活用を検討する"ABM"を実施。最終段階では、効果を可視化する情報投資効果シュミレーションと効果検証の実施が行われるという。