日本アニメーションは世界名作劇場シリーズの第25作として、『ポルフィの長い旅』を2008年1月6日よりBSフジにて放送する。同番組は1月7日から、動画サイトBIGLOBEストリームにて無料配信も開始予定。放送開始も近づくなか、11月29日に都内スタジオにて、第4話のアフレコ収録が行われた。
<あらすじ>
20世紀の中ごろ、ギリシャのある寒村シミトラを突然大きな地震が襲う。村に住む幼い兄弟は家族を失い離れ離れになる。「歌手になって歌を歌いたい」……妹がいつも話していた夢を頼りに、兄のポルフィは妹を探すために旅立つ。一方、地震で記憶を失った妹のミーナは旅芸人の一座に拾われ、図らずも歌手への道を歩み始める。彼女の記憶に残っているのは、突き抜けるような青空と、誰かといつも一緒に唄っていた歌。故郷のギリシャから、イタリア、フランス……兄妹はいつの日か再会するため、大戦の悲劇を乗り越えて復興へと向かうヨーロッパの地で、力強く歩み続ける。
BSフジでは世界名作劇場の枠としてお馴染みの、日曜の19時30分より放送。全52話構成 |
『ポルフィの長い旅』は、フランス人作家のポール・ジャック・ボンゾンが書いた児童文学『シミトラの孤児たち』が原作。舞台は1950年代のギリシャで、1900年前後を舞台とした作品が多い世界名作劇場では珍しく、第2次大戦後の時代を描く。監督は『海がきこえる』『ふたつのスピカ』などを手掛けた望月智充氏。青春時代の心の葛藤など、少年少女の物語を得意とする望月監督だけに、世界名作劇場で兄妹の旅路をどう描くのか注目したい。
世界名作劇場は、『フランダースの犬』『ピーターパンの冒険』など、海外の児童文学を原作とするアニメを、1975年から1996年にかけて23作品放映。日常生活のなかで起こる出来事を丁寧に描く手法で、長年幅広い層に親しまれてきた。1996年放送の『家なき子レミ』でシリーズは一端中断するも、24作目『レ・ミゼラブル 少女コゼット』が2007年に放送され、約10年ぶりに復活。そして節目の25作目として、『ポルフィの長い旅』が放送開始となる。
兄のポルフィ(左)と、妹のミーナ(右)。両親と仲良く暮らしていたふたりだが、地震により離れ離れとなってしまう…… |
アフレコ終了後には、監督とキャストから作品の印象と役へのコメントが語られた。
望月智充監督
自分自信、若いころに名作劇場をよく見ていました。波瀾万丈のドラマではなく、普通に主人公に感情移入できるドラマが名作劇場の伝統だと思います。25作目という記念作品でありますが、それは意識していないです。旅の途中の出来事はオリジナルに近い形となるので、それをいまシナリオライターと作る作業が非常に楽しいです。自分としても「これを1年間やったら、すごく長い旅をした気分になるだろうな」と思っていて、早くそれを味わいたいです。
甲斐田ゆき(ポルフィ役)
平和に暮らせることの大切さや、当たり前だと思っている日々を、丁寧に描いた導入部になっています。大人としては日常がかけがえのないものと気づきますが、この子供たちはおかまいなしという感じです。ことさらいい子になろうとするわけでも、ちょっと悪いところも普通にあり、自然体で暮らしています。ポルフィはとても妹思いで両親を大事にしていますが、説明的な優しさはありません。そこにこそ自然な家族の絆が感じられるので、それを大切に扱わなくてはと思っています。
藤村歩(ミーナ役)
ミーナは本当に普通の素直な女の子です。もう私は大人になってしまったので(笑)、子供のころのことは結構忘れてしまっています。なので子供のときのことを一所懸命思い出しながら、道を歩いていて子供がしゃべっていると、ちょっと耳を傾けてみたりたりしています。ミーナはそういう普通の子どもを演じるという難しさがすごくありました。ある程度すさんでしまった心を子どもにすり寄せていくように(笑)、自分の気持ちも浄化していきつつ演じたいです。
島本須美(アネーク役)
名作劇場には『小公女セーラ』や『ピーターパンの冒険』で出していただき、思い入れが強いです。今回この役を演じるにあたり、少しの悩みはあっても笑って暮らせる、そんな家族像を描いていきたいです。優しく、ときには厳しく、そんなお母さんを自然な感じで演じていくつもりです。ちょっとワガママを言ったり(笑)、アドリブも自分から入れたりしながらやらせてもらっています。
井上和彦(クリストフォール役)
島本さんと同じく名作劇場は何度目かですが、お父さん役は初めてで「年月というは、こういうものかな」というのを感じながらやっています。いまは便利になった世の中で、そうじゃない50数年前。ちょうど僕が生まれたころのお話で、不便さが人と人をつなげているドラマです。家族みんながそれぞれを思いやっているのは、すごく演じていて気持ちがよくて、そういう部分を出していきたいと思います。
左より望月智充監督、ミーナ役の藤村歩、ポルフィ役の甲斐田ゆき、アネーク役の島本須美、クリストフォール役の井上和彦 |