米国で著名なコンピュータ販売チェーンの1つ「CompUSA」が、今年のホリデーシーズン商戦明けにも全店舗の営業を終了しようとしている。

経済紙の米Wall Street Journal(オンライン版)の12月7日付けの記事によると、米CompUSAの経営者であるメキシコの大富豪Carlos Slim氏が米国でのコンピュータ/家電販売事業から撤退し、全米のCompUSA103店舗をすべて閉鎖、その資産を事業清算会社の米Gordon Brothers Groupに売却するという。CompUSAは1984年創業、米テキサス州ダラスを拠点としており、最盛期には全米に200店舗以上をチェーン展開していた。だが最近ではWal-MartやBest Buyなどの強力なライバルとの競合で経営が圧迫されており、今年2月に126店舗の閉鎖を発表したばかりだった。

Carlos Slim氏は旧国営企業のTelefonos de Mexico(Telmex)の会長で、そのほかにも南米の通信会社を傘下に抱えるラテンアメリカの通信王として知られる。今年夏には保有株の価格上昇から、米MicrosoftのBill Gates氏を凌ぐ世界一の大富豪の称号を与えられたこともある。同氏は1999年より経営参画のためCompUSAの株式を取得し始め、これまでに20億ドルを同社に投資したといわれている。2003年には同業者の米Circuit Cityの15億ドルでの買収を試みたが、経営陣に拒否され、手持ちのCircuit City株9.2%を手放した。その後同氏は米国内よりもむしろ、米国外での小売り事業に注力するようになった。

CompUSAは2006年に約40億ドルの売上があったものの、2月の店舗閉鎖を受けて2007年の売上は15億ドル規模にまで急減する見込みだという。またWSJのレポートによれば、CompUSAはライバル事業者に資産の部分売却を持ちかけていたという。オンラインストアの「CompUSA.com」は米TigerDirectに、同社チェーンのうち10店舗を米オハイオ州を拠点とする米Micro Electronicsに事業譲渡するというようなプランだったという。