Match[in]

Match[in]は、Photoshop CS3 ExtendedにてVanishing Pointのデータからカメラのビューと3Dグリッドをマッチさせるツールである。これにより、Photoshop CS3 Extendedの中でVanishing Pointを設定した背景画像に対して、3Dモデルを自然なパース設定で配置することができる。この機能により、予め用意した背景画像に対して、従来のように特殊なツールを使うことなく自然なパース位置で作成した3Dデータを配置することができる。

操作としては、まずPhotoshop CS3 Extendedにて元画像【図06】に対し、Vanishing Pointプラグインにて【図07】のようにメッシュを設定する。続けてVanishing Point上で作成したメッシュを元に、オプションの「Photoshop 3Dレイヤーを作成」にてパース情報を含んだ3Dレイヤーを生成。すると新規レイヤーにメッシュを設定した部分だけを切り取った様なレイヤーが生成される。見た目はサイズが大きくなっていたりするが、最終的には元画像に合致するので気にせずに処理を行う。あとは、そのレイヤー上でMatch[in]を実行し、必要に応じてオブジェクトを配置する。【図08】のようにメッシュサイズが画像と合っていない場合でも表示サイズで調整することもできる。なお、予めシェイプとして登録しておくと処理を迅速に行うことができる。

ただし、注意しなくてはならないのは、配置確定後、正式にレンダリングを行うとバーチャル設定されたパース上のオブジェクトの影が不自然な位置についてしまうことだ。正確な影処理を行いたい場合は、パースに合わせて【図09】のような板を作成し、その上にオブジェクトを配置した状態でレンダリングを行うことで対処することができる。レンダリング結果に映り込んでしまう板は【図10】~【図12】のようにレイヤーレンダリング結果を元に簡単にマスキングが行えるのでそれほど大きな問題とはならない。【図13】は最終的な完成イメージである。

【図09】Match[in]処理の背景用に用意した画像

【図10】Vanishing Pointにてメッシュを設定

【図11】Vanishing Pointにて作成した3Dメッシュは元が像よりも大きめに設定される。ただし、最終的な配置結果には影響しない

【図12】Vanishing Point上で作成したメッシュを元にオプションの「Photoshop 3Dレイヤーを作成」にてパース情報を含んだ3Dレイヤーが生成されるので、そのレイヤー上でMatch[in]を実行し、必要に応じてオブジェクトを配置する

【図13】レンダリング結果はSTRATAお得意のテクスチャー設定などをレイヤー分けした状態で作成するので、後処理が楽である

【図14】STRATA 3D CXには見られなかった、マスク選択範囲というレイヤーが新たに追加され、レンダリング結果の中から求めたいパーツだけを迅速に選択することが可能となった

残念な点はVanishing Point処理後のMatch[in]の連携がギクシャクしていること。特に配置後のレンダリングでオブジェクト自身の影の設定が自動では行えず、背景に合わせるために手動で描くことになってしまうのは残念。全体の仕上がりが満足できる範囲であるため、改善を望む点だ。

【図15】マスク選択範囲レイヤーグループ内の「シェーダー選択範囲」レイヤー。色域選択等で正確な選択範囲を得ることができる

【図16】正確なシャドウ位置を取得させるために設定した板をマスキング処理にて消し取った状態。位置関係が正確だとレンダリング結果を背景に自然な形で溶け込ませることができる

3Dソフトというと3DCG作家の専用ツールというイメージが強い。しかし、グラフィックデザイナーならではの3Dソフトの使い方というものがあるはず。そんな観点から見てもSTRATA DESIGN 3D[in] は、Photoshopで気軽に本格的な3D処理が行えるという意味で、グラフィックデザイナー向きのツールと言えるのではないだろうか。今まで3Dの表現に興味はあったが難しそうだと敬遠していたグラフィックデザイナーに是非チャレンジしてほしいツールである。