OOW期間中はサンフランシスコ中がOracle一色に染まる。街への経済効果も数千万ドルを超す莫大な金額に

Oracle OpenWorld San Francisco 2007は11月11日(米国時間)から5日間に渡って開催された同社最大のイベントだ。全セッション数は1,600を越え、ユーザ、カスタマ、パートなどの参加は世界中におよぶ。Oracleの重要な戦略が発表される場でもあり、向こう1年間、エンタープライズ業界でどういった動きがあるのかも見通せる。本稿ではOOW 2007で発表された内容をまとめ、Oracle戦略の概要を示し、さらに今後Oracleがどういった方向へ進もうとしているかを整理しておく。

OSプラットフォームはUnbreakable LinuxとOracle VM

OOW 2006で衝撃的にデビューしたOracle版のLinuxディストリビューション「Unbreakable Linux - UBL」は同社の主張によればこの1年でRed Hat Linuxよりも高い成長率を遂げたという。サービス発表当初のUBLと、すでに成熟期に入ろうとしているRed Hat Linuxを成長率で比較することはフェアではない気もするが、同社がUBLを同社の基盤OSとして採用し続けることは間違いなさそうだ。

OOW 2007ではさらに仮想化を提供する「Oracle VM」が発表された。Oracle VMはOSSプロダクトを活用して開発された仮想化プロダクトで、同社の主張によればほかの競合アプリケーションと比較て廉価であり性能も高いとされている。ベンチマークが公開されてからでないと確かなことはわからないが、UBLとOracle VMを同社の最下層プラットフォームとして位置づけていくことは間違いないだろう。

Charles Phillips氏と共にOracleの顔として表に出ることが多いCFOのSafra Catz氏。今回もプレゼンターとして何度も登壇

同社設立30周年記念のOOWということもあり、初日のキーノートにも登場したおなじみLarry Ellison CEO

アプリケーション構築はApps UnlimitedをAIAで組み合わせる方向へ

アプリケーションやソリューション構築で注目されるのは「Applications Unlimited - Apps Unlimited」と「Application Integration Architecture - AIA」だ。従来のOracle Fusion Middleware上ですべてのサービスやアプリケーションを連結させるという方法に、もっとわかりやすいテンプレートを与えた。Apps Unlimitedでアプリケーションの継続開発を約束し、AIAでアプリケーションを組み合わせて活用するというものだ。

エンタープライズ業界の流れとして、すでにアプリケーションを組み合わせる基盤を構築する段階は終了し、次はいかにアプリケーションを組み合わせてビジネスプロセスの改善に役立てるか検討するフェーズに入っている。Apps UnlimitedとAIAはそうした取り組みに対するOracleの提案であり、今後同社が展開する提案の中心を占めていくことになるとみられる。

4日目にはBilly JoelがEllison CEOのプレゼンターとして登場。思わぬゲストに会場は大喜び!