米Appleの携帯電話「iPhone」をドイツで独占的に提供するオペレータ 独T-Mobileは、ドイツ・ハンブルグの裁判所より、iPhone購入に24カ月のサービス加入契約を義務付けるのは違法との命令を受けた。英Reutersなど各紙が報じている。携帯電話と契約をセットで販売するのは消費者保護法に違反するという見解だ。T-Mobileは近く、今後の方針について正式に回答するとしている。

この問題は、iPhoneをドイツで独占的に販売するT-Mobileに対して、英Vodafoneが起こしたもの。ドイツで9日に発売開始となったiPhoneは、T-Mobileとの24カ月間の携帯電話契約とセットで販売されており、Vodafoneはこの商慣習をドイツの消費者保護法に反する、と訴えた。Vodafoneは、T-MobileとAppleが結んだとされる売上をシェアする契約についても異議を唱えている。ハンブルグ地方裁判所はVodafoneの訴えを全面的に認め、iPhoneは全員が購入/利用できるべきとし、現行のセット販売を禁じる差止め命令をだしている。この是正措置に遵守しない場合、最大25万ユーロの罰金が課される可能性があるという。

T-Mobileは命令に従う義務があるが、異議を唱えることもできる。英Reutersの報道によると、T-Mobileの広報担当は20日、今後の対応について明言することは控え、「21日にどのように対応するかを発表する」と述べているという。そして、差止め命令に対して異議を唱えるだろうが、iPhoneを販売する条件について再度検討する予定、とT-Mobile側は述べている、と続けている。20日付のDow Jonesの報道も、「iPhoneを引き続き販売するが、差止め命令の条件に従う」というT-Mobileの担当者のコメントを引用している。

Vodafoneは、ドイツでVodafone Germanyとして展開しており、T-Mobileとは本国英国(T-Mobileは英国でも展開している)とドイツで競合関係にある。ドイツでのシェアは、T-Mobileについで2位。なお、ドイツのオペレータ 独Debitelも規制当局に同じような苦情を申し立てたという。

T-Mobileは現在、iPhoneを399ユーロで販売している。販売時に申し込みが必要な24カ月契約は、最低49ユーロ(月額)~となっている。