Webと紙媒体は敵対意識を持つべきではない


――現在のアクセス状況についてお聞かせください

片山 1日あたり1,300万~1,800万件程度のアクセスがあります。産経新聞は東京、大阪の管内で毎日200万部発行しているので、MSN産経ニュースには新聞の定期購読者の何倍もの読者がいるということです。昔の我々を含めて新聞社の人間は、ネット媒体に対して敵対意識を抱きがちですが、明らかに間違いですね。これだけ多くの人に読んでいただけるわけですから。

そして必ずWebのお客さまが紙に逆流する、と考えています。WebはPCの電源を入れ、起動させるなどのプロセスが必要ですが、紙は見開きで一読できます。紙にもメリットはあるわけです。Webを通じて、新聞離れにあった人が産経新聞を再認知してくれたり、産経新聞に対するイメージで読まず嫌いだった人を取り込んだりすることだってできるはずです。

ただ、喫緊の課題は土日のアクセスですね。平日の半分程度になりますし、とくに天気のいい日は芳しくないですね。読者が家にいないわけですから。そのあたりの動向は変えようがないと思うんですが、日本では家庭でネットを楽しむ人の数はまだ多くないような気がします。平日のアクセス数は安定していて、昼ごろにグンと上がります。職場のお昼休み中に食事しながら見ている、という人が圧倒的に多いということなんだと思います。

――まさに数字との戦い、ですね

片山 いままで新聞の現場記者は、自分たちの記事で新聞がどれだけ売れたか、ということに執着したことがありませんでした。「いいものをつくれば、売れるだろう」という気持ちで仕事をするのが普通の感覚だったんです。

ところが、ネットに携わるようになり、アクセス状況がリアルタイムにグラフ化されるようになりました。常に自分たちが採点されている感じで、緊張感が続くようになったんです。これは(月単位で購読契約を交わす)一般新聞の記者にはあまりなかった感覚で、1部単位の売り上げが大多数を占める夕刊紙の現場に似ていますね。

今後、このような新しい意識で作った新聞の需要が高まることを期待しています。楽観的過ぎる、という声もあるかもしれませんが、我々は紙とWebがお互いに相乗効果で伸びていくと信じていますからね。