オシロかロジアナか、それともMSOか - 購入のポイント
前述の通り、MSOにはロジックアナライザの基本機能が付いている。そのため、MSOを購入するか、それともロジックアナライザを購入するか迷う場合が考えられる。この際の判断基準について、稲垣氏は以下のように語った。
「ロジックアナライザは、高機能なぶん、MSOより高価です。MSOに付いているロジックアナライザ機能は、あくまでも基本的なものに限られています。マイコン、使用するバス、必要なチャネル数によってどちらを選択するか分かれます。マイコンが16ビット程度、使用するバスはシリアルバスが主で、チャネル数が16程度ならばMSOが効果的です。それ以上のチャネル数や、コードの逆アセンブル機能までが必要ならばロジックアナライザを選択することになります。」(稲垣氏)
最後にMSO4000シリーズのおすすめの機種をたずねたところ、最上位機種の「MSO4104」という答えが返ってきた。カタログを見ると、確かにこの機種だけアナログ部の性能が高い。下位機種のMSO4054に比べて価格差は約20%ほどだが、アナログ部の周波数帯域などの性能は2倍になっている。このシリーズに関しては、コストパフォーマンスは最上位機種がいちばん良いようだ。
最後に
MSOを使用したデバッグでは、1台のMSOでシステム全体の動作検証を行うことができる。ソフトウェアエンジニアは、MSOを使いこなすことでハードウェアのレベルで動作検証を行い、より素早くコードの検証ができる。
稲垣氏は「今までのオシロスコープで満足していたエンジニアに『MSOはこんなに簡単なんだ』と言ってもらえれば嬉しい」と語る。
組み込み機器の開発現場では、ハードウェアの知識を身に着けたより多くのソフトウェアエンジニアが求められている。オシロスコープやロジックアナライザ、そしてMSOはハードウェアエンジニアだけのものではない。ソフトウェアエンジニアといえども、こういったツールを使いこなせるようになることが求められている。