Ellison氏の講演の次のテーマは、次世代Oracleアプリケーション製品としてその姿が見えつつある「Fusion Applications(Apps)」に移る。Fusion Appsの特徴として同氏が挙げるのが「SOAベースの標準アーキテクチャ」「BI機能の組み込み」「SaaS Ready」の3つだ。
SOAベースとは、すなわちOracle Fusion Middlewareをベースにアプリケーションが構築されていることである。次世代アプリケーションを作るうえでの顧客からの要望として「既存のアプリケーション環境と連携できること」があるといい、こうしたアプリケーション統合を非常に意識した製品であることがわかる。
最も気になるのがSaaS対応の部分だ。同氏によれば「Fusion Appsは既存のインストールベースのアプリケーションとは異なり、機能そのものをSaaSとして呼び出せる」という。SaaS本来のメリットとして大量のサービスの集中ハウジングによるコスト削減や導入の容易さが挙げられるが、ここでいうSaaSがこの意味までを含んでいるかはわからない。だが同社が2008年にリリース予定のFusion Appsの最初のバージョンは、SFA(Sales Force Automation)市場をターゲットに3種類の製品が用意され、既存のERPやCRMとの統合が簡単に行える形で「Pre-Built Integration Pack」とともに提供されることになる。少なくとも「導入が容易」という部分の特徴は備えているようだ。
SFAはいわゆる営業支援アプリケーションのことで、CRMのカテゴリの1つとして認知されている。Siebelほか、それを社名に採用しているSalesforce.comなどがソリューションを提供している。Ellison氏はこれについて「これが製品の優劣を示すわけではないが、SiebelやSalesforce.comの出しているようなSFAソリューションは第1世代に属すると考えている。ここでの目的は"より正確な予測を出す"ことにあると考えている。一方で第2世代のSFAはそれをさらに推進したもので、"より多く売る"ための方法を提案するソリューションとなる」と考えを述べている。ここで重要となるのが前出のBIやデータマイニングの部分で、Fusion Appsはこれを目指すものだというのがEllison氏からのメッセージだ。