アッカ・ネットワークスは15日、2007年第3四半期累計期間(2007年1-9月)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比9.0%減の267億5,400万円、営業利益は同0.8%増の17億700万円、四半期(当期)純利益は同102.9%増の17億3,000万円(厚生年金基金の代行返上益を計上)で、減収増益だった。

2007年第3四半期の決算概要

個人向けのインターネット接続サービスで加入者の純減および1加入者あたりの収入減少傾向が続いたため、全体の売上高は落としたが、企業向けデータ通信サービスが順調に推移し、中継回線使用料などの固定費を削減するなどコスト改善に努めたことで、前年同期並みの利益を確保した。

市場が成熟した個人向け接続サービスでは厳しい状況が続いており、9月末時点での加入数は前年同月末と比べて13万純減の99万5,000加入となった。ただし解約率は改善傾向がみられ、減少幅は小さくなりつつあるとしている。当期の売上高は前年同期比14.0%減の206億1,700万円。

企業向けでは、第2四半期で純減に転じていた加入数を純増に戻し、光接続サービスの加入数が伸びたことで1加入者あたりの収入も増加した。売上高は同0.1%増の51億4,100万円。またこの日、TSUTAYAの約800店舗にアッカの光接続サービスが導入されることが発表された。さらに来年以降の開通分まであわせると約6,700回線の受注見込みがあるといい、第4四半期以降に法人向けの加入数は大きく伸びるとしている。

個人向け、法人向けそれぞれの事業の状況

2007年通期の業績予想は売上高366億円、営業利益19億円、当期純利益14億円で、2月の発表内容から見直しは行っていない。

モバイルWiMAX免許の行方は粛々と見守る

アッカ・ネットワークス代表取締役社長の木村正治氏

同社は子会社のアッカ・ワイヤレス(NTTドコモなどが出資予定)を設立し、モバイルWiMAX方式による無線ブロードバンド事業の免許を総務省に申請中だが、決算発表前日の14日には、KDDIが中心となっている競合会社・ワイヤレスブロードバンド企画に免許が与えられる可能性が高いとの報道が一部で行われた。この情報について、アッカ・ネットワークスおよびアッカ・ワイヤレスの代表取締役社長を務める木村正治氏は「大変心外。現在はヒアリングプロセスの最中であり、どこのグループが優勢といった評価が出るはずもない。総務省とも話をして確認したが、事実無根」とコメント。「予定されたスケジュールの中で事業計画が審議され、そのうえで免許が付与されるという認識に変わりはない」と述べ、年内とみられている免許事業者の決定までは、総務省のヒアリングなどに応じつつ審議の行方を粛々と見守るとの姿勢を示した。

その上で、無線ブロードバンド事業に対するアッカ・ワイヤレスの基本的な考え方を改めて説明し、世界的な標準規格であるモバイルWiMAXを採用することで使いやすい端末やサービスを安価に提供できる点、中立的なインフラ提供役に徹することによってさまざまな事業者がこれまでにない多様なサービスを展開できることなどを強調。「我々が新しいビジネスモデルを作れると確信している」と話し、免許獲得に向けた自信を再アピールした。

アッカ・ワイヤレスの事業計画