神奈川県横浜市にある三渓園では17日より、「紅葉の遊歩道と重要文化財の古建築『聴秋閣』『春草廬』公開」を実施する。期間は12月16日まで。

春草廬

三溪園は生糸貿易により財を成した実業家・原三溪の手によって古建築が移築され、1906年5月1日より公開されている。175,000平方メートルに及ぶ園内には京都や鎌倉などから移築された歴史的に価値の高い建造物が配置。現在、重要文化財10棟・横浜市指定有形文化財3棟が存在する。

原三溪が存命中は新進芸術家の育成と支援の場ともなり、前田青邨の「御輿振り」、横山大観の「柳蔭」、下村観山の「弱法師」など近代日本画を代表する多くの作品が園内で生まれたという。その後、戦災により大きな被害をうけ、復旧工事を実施し現在に至る。

園内奥にある小さな渓谷沿いの遊歩道周辺は、三渓園の中でも随一の紅葉スポットとして知られており、鮮やかな紅色に色づいたモミジやカエデ、足元に散った黄金色のイチョウと歴史を刻んだ古建築とが織り成す景観は、横浜にいながら古都に迷い込んだかのような風情を満喫できるとしている。

聴秋閣

毎年この時期に公開される聴秋閣と春草廬はいずれも重要文化財。聴秋閣は1623年、三代将軍徳川家光が将軍職受任のため上洛した折、京都二条城内に建てられ、のちに乳母の春日局が所持したといわれる建物で、三渓園には1922年に移築された。3つの屋根がバランスよくまとめられた外観の形状から、かつては「三笠閣(みかさかく)」と呼ばれている。また、春草廬は織田信長の弟・織田有楽斎の作と呼ばれる茶室で、京都宇治・三室戸寺金蔵院に伝わった桃山時代の建築と推定されている。四畳に満たない小さな空間でありながら窓から差し込む淡い光が、幾何学的な障子の桟のシルエットを際立たせ、モダンデザインのような印象さえ感じさせるという。

11月21日~2008年2月4日にかけては、同園内の三渓記念館にて中区区制80周年記念「天野洋一写真展 -三渓園と本牧の景色-」を実施。横浜・本牧に生まれた写真家・天野洋一がとらえた三渓園と本牧の写真を中心に約70点が紹介される。

開園時間は9時~17時(入園は閉園の30分前まで)。休園日は12月29日、30日、31日。入園料金は大人(中学生以上)500円、65歳以上300円、小学生200円、未就学児は無料。ただし12月3日~16日は大人の入園料を300円とする。