米Intelは11月12日(現地時間)、米カリフォルニア州サンフランシスコ市内のホテルで「Penryn(開発コード名)」プロセッサのローンチイベントを開催した。Penrynは同社初となる45nm製造プロセスをベースにしたプロセッサ製品。今回発表されたのはサーバ向けのクァッドコア・プロセッサ「Xeon 5400」シリーズ15製品と、ハイエンドデスクトップ向けの「Intel Core 2 Extreme QX9650」の計2種類。Penrynは12日に世界同時リリースのため、時差の関係で米国でのローンチが最後発になる。技術プレビューが中心だった日本のローンチイベントとは異なり、米国でのローンチはIntel本社のエグゼクティブを囲んだ歓談会のような雰囲気で進行された。
冒頭の挨拶の中で米Intel社長兼CEOのPaul Otellini氏は「今回リリースされるのは16の新プロセッサで、最初はサーバとハイエンドPC向けとなる。来年にはさらにノートPC向けやデスクトップPC向けの順次提供していく。今後も、数億単位のトランジスタを搭載したイノベーションの塊を"石油"より安い価格で提供していこう」と切り出し、会場の笑いを誘った。昨今の原油価格暴騰を受けての"振り"だが、最新技術を手頃な価格で提供していくのがIntelの基本スタンスだということだ。
プロセスルールの変更で消費電力の低減やパフォーマンスの向上、ダイサイズの縮小などが可能になることはよく知られている。IntelはGoogleなどの企業とともに今年6月に「Climate Savers Computing Initiative」を立ち上げ、データセンターやPCの消費電力を低減し、地球全体のエネルギー問題に正面から取り組んでいくことを表明している。Penrynのリリースがこの取り組みを一歩前進させるものであるとIntelでは説明する。「地球に優しい」という意味では、Penrynは鉛フリーとハロゲンフリー(達成は来年以降)を実現する最初のプロセッサ世代となる。製造過程で必要になる有害物質を排除することで環境問題に取り組むとともに、有害物質の規制を強めている欧州などの国の動きに合わせる狙いがあると思われる。
イノベーション的な面でいえば、商用プロセッサでの45nm世代への到達は業界初となる。ゲート絶縁膜にハフニウム系のHigh-k素材を採用することでリーク電流を低減し、従来の二酸化ケイ素系素材と比較して電力効率が大幅に向上した。こうした問題は90nm製造プロセス到達以降、世代交代ごとに発生しており、半導体業界各社を苦しめてきた。Intelによれば、45nmの次世代にあたる32nm世代の開発も順調に進んでおり、(2009年リリース予定の)現状のスケジュールを実現できるとコメントしている。現在は、プロセスルールの世代交代の際に行われるSRAMプロトタイプの製造が32nm世代で行われている段階だという。
「Intelの採用した"チク-タク"(Tick-Tock)モデルは、1年ごとに最新のイノベーションをユーザーに届けることができる。最初のTickの部分でプロセスルールの世代交代を行い、次のTockで新機能を投入していく。2008年夏にはアーキテクチャを刷新したNehalemで、さまざまな新機能をお届けできるだろう。Penrynで投入されたSSE4については、来年1月のInternational CESでデモを交えて紹介していく予定だ」とOtellini氏は今後の計画について説明した。