米Microsoftは12日(現地時間)、米Openwaveの傘下で携帯電話向け音楽サービス技術を提供する仏Musiwaveの買収に向け、独占的に話し合いを進めていることを明らかにした。Musiwave獲得により、米Apple、フィンランドNokiaなどがサービスを提供するモバイル音楽サービス分野に参入する狙い。
Musiwaveは2000年にフランスで立ち上がったベンチャー企業で、携帯機器向けに音楽を配信するための基板技術を提供している。ライセンス、技術などをパッケージし、携帯電話事業者がブランディングできるホワイトレーベルとして提供する。欧州を中心に展開し、英O2、英Vodafone、仏Orangeといった顧客を持つ。事例としては、大手事業者である独T-Mobileの音楽ダウンロードサービス「Jukebox」などがある。
同社は2006年はじめ、携帯電話向けソフトウェア開発のOpenwaveにより約1億2,100万ドルで買収された。MicrosoftとOpenwaveの2社は、Musiwaveの売却に関して独占的に交渉を進めているとしているが、金額や時期などの詳細は公開していない。
MicrosoftはMusiwave獲得により、携帯向けの音楽配信プラットフォームに加え、レコード会社・端末メーカー・携帯電話事業者との関係を手に入れることになる。同社は、デジタルエンターテインメントを消費者に提供するという「Connected Entertainment」戦略を敷いており、これを強化できるとしている。Microsoftはこの戦略の下、モバイルOS「Windows Mobile」、携帯音楽プレイヤー「Zune」、ソフトウェアサービス「MSN」「Windows Live」などを展開している。
モバイル音楽サービス市場はこれまで、携帯電話事業者が自社ポータルサービスの一部として提供するケースが多かったが、このところハードウェアメーカーのサービス戦略として提供されるようになった。たとえば、Appleの「iTunes Store」「iPhone」のほか、Nokiaも「Nokia Music Store」をまず英国で開設している。また、英Sony Ericssonも来年、最新の音楽サービス「PlayNow」を提供する計画を発表している。
Microsoftによると、買収が成立した場合、Musiwaveはこれまで通りフランス・パリにあるオフィスで事業を続けることになるという。