近藤高弘展「TRANS-FORM」が11月27日より、東京都港区のスパイラル1階にあるスパイラルガーデンで開かれる。用の美、造形美を超越し陶芸家からアーティストへと"TRANS-FORM"する様が空間に表現される。開催期間は12月5日まで。

oil 2007

近藤さんは1958年、染付の伝統を現代に伝える京都の陶芸一家に生まれた。近代陶芸の巨匠・富本憲吉の弟子であり、磁器染付の最高峰と称された人間国宝・近藤悠三氏を祖父に持ち、陶磁器の表現を一層飛躍させ世界で活躍している。また、自らの創作活動に造形や彩色を超える概念を導入する必要があると気付き、銀をベースに金・プラチナを焼成して、水滴のような結晶粒を表出させる銀滴彩という絵具、あるいは釉薬の灰に着目し、石油の廃油を使用した絵具を創造したという。

銀滴彩(Blue Green Mist 07部分)

展覧会では、作品の数々をスパイラルの空間に配置することで枠からの脱却、しきたりの超越する様などを表現する。アトリウムには、サークル状に広がるスタンディングストーンをモチーフに、陶磁器とキャストグラスを組み合わせた背の高い立体「ミスト」シリーズが象徴的に立ち並ぶほか、陶磁器の石柱から湧き出る水滴のような銀滴彩と透けるようなガラスの輝きが、神秘的でスピリチュアルな空間を創り出す。アトリウムへと続く直線的な壁面には、銀滴彩を様々な素材に焼き付けた平面作品と、古代生物が長い時間をかけて再生した物質(エネルギー)としての石油の灰を絵具として使用した作品「オイル」シリーズを展示する。

スパイラル限定の新作も販売。「銀滴彩」が施された「銀河シリーズ」、水の循環を表現したもので白磁とガラスを組み合わせた白い作品「零度シリーズ」、初期の幾何学・抽象的染付の作品「Blue&White」は各10万5,000円。

入場無料。開催中は無休で、時間は11時~20時。展覧会後は、イギリス(エジンバラ)とアメリカ(ニューヨーク)で巡回展を開催する。