ウィルコムは9日、タイでPHSサービスを提供中の通信事業者・Asia Wireless Communication(AWC)との間で、次世代PHSに関する共同検討の契約を締結したと発表した。タイにおける次世代PHSサービス導入の可能性について、両社が協力して検討を開始する。

バンコク市内で調印式を行ったウィルコム代表取締役社長の喜久川政樹氏(中央左)と、AWC PresidentのAdhiruth Thothaveesansuk氏(中央右)

ウィルコムが現在研究開発を行っている、最大20Mbps以上の高速通信を実現するという次世代PHS技術が、タイにおける現行PHS網の後継として導入可能かを共同で検討する。AWCは事業モデルの構築を含め、商用サービス化の可能性を探り、ウィルコムは主に技術面での協力を行う。

AWCは1999年11月よりタイ・バンコク市内でPHS(現地名「PCT」)サービスを開始し、2003年12月にはウィルコムとの間で国際ローミングを実現している。ウィルコムの発表資料によれば、今年10月末時点での加入者数は約30万人。

また、PHSは中国など他のアジア諸国でも採用例があるが、設備の更新時期が近づいているエリアもあり、ウィルコムでは将来の設備更新にあわせて次世代PHSの採用を検討するよう、タイ以外の各国の現地事業者にも働きかけていきたい考え。

日本で次世代PHSは、2.5GHz帯を利用する無線ブロードバンドサービスの1方式として候補に挙げられており、ウィルコムは9月28日に同方式での事業免許を総務省に申請している。ほかにもオープンワイヤレスネットワーク、ワイヤレスブロードバンド企画、アッカ・ワイヤレスの3社がモバイルWiMAX方式で免許申請を行っており、総務省は各社の事業計画などを検討した上で、年内にもこれら4社の中から2社に免許を与える予定。