フィンランドのNokiaは11月7日(現地時間)、同社が参加するLTE/SAE Trial Initiative(LSTI)が初期段階での無線通信実験に成功したことを報告した。LTE/SAE(Long Term Evolution/System Architecture Evolution)とは、次世代無線ネットワークの業界団体「3GPP(Third Generation Partnership Project)」が標準化を進めている3G世代の携帯ネットワーク向けデータ通信技術。世代的にはHSDPAら3.5Gと次世代の4Gの中間に位置する。最終的には下り100Mbps/上り50Mbpsでの高速通信を目指しており、2009年末までのトライアル進行後、2010年以降に商用展開がスタートする見込み。

今回の発表は、5月にLSTIがアナウンスしたLTE実験開始を受けてのものとなる。LSTIはAlcatel-Lucent、Ericsson、France Telecom/Orange、Nokia、Nokia Siemens Networks、Nortel、T-Mobile、Vodafoneの9社を初期メンバーとし、後にChina Mobile、Huawei、LG Electronics、NTTドコモ、Samsung、Signalion、Telecom Italia、ZTEが合流し、全17社の参加団体となっている。LTEはOFDMA技術を使って下り100Mbpsでの無線通信を実現する、データ通信に特化した規格だ。

今回の実験では固定アンテナと携帯デバイス内蔵の移動式アンテナの両方のケースが想定され、仕様に沿った形で実際のパフォーマンスが得られるかが検証された。またフィールドテストにおいては実験室以外に、実際の都市環境での送受信実験も行われている。LSTIによれば、実験は3段階のフェイズに分かれ、コンセプトの検証や相互互換性、実環境でのトライアルを順番にこなしていくことになる。同テストは2009年末まで繰り返され、すべての実験終了後の2010年から順次システムが展開されていく予定だ。