英国の業界団体Mobile Data Association(MDA)は5日(現地時間)、2007年第3四半期のSMS(Short Message Service)の統計を発表した。9月度、英国の携帯電話ユーザーは合計48億2,500万通のテキストメッセージを送信したという。成長率は25%増。テキストメッセージは成熟市場といわれるが、利用は引き続き右肩上がりで伸びていることが分かった。

MDAの統計によると、2007年9月、英国内で送受信されたテキストメッセージの総数は、約48億2,500万通。同年8月は約47億通だった。9月の週平均送信数は約12億通で、1日あたり約1億7,300万通のテキストメッセージが送信された計算という。毎分になおすと約4,000通。MDAによると、英国の携帯電話ユーザーは平均して月70通のテキストメッセージを送信しているという。同月、テキストメッセージの成長率は前年比25%増となった。

テキストメッセージは、携帯電話番号を利用したメッセージサービスで、本文にテキストを入力して送信する。携帯電話が普及し始めた1990年代後半から、音声通話に次いで人気の通信サービスだが、音声通話サービスの利用が減少傾向に入っているのに対し、引き続き右肩上がりで増加している。今月の週平均の12億通という数字は、1999年通年のテキストメッセージ送信数と同じという(図参照)。

テキストメッセージ送信数。MDAが統計をとりはじめた1998年から右肩上がりで増加している

テキストメッセージのこのような高い人気の理由について、MDAではいくつか分析している。まずは、シンプルさ。相手の携帯電話の機種を問わずメッセージのやり取りができる相互運用性を確保したことから、信頼性のある通信手段となっている。これは、幅広い年齢層にもアピールしている。

次に料金プランがある。多くの通信事業者が料金プランに無料のテキストメッセージをバンドルしており、安価な通信手段となっている。このほか、企業での活用も目立つという。企業は従業員、顧客、取引先とのやりとりにテキストメッセージを利用し始めているとのことだ。

だが、利用料金の低下は通信事業者にとっては課題を意味する。調査会社、英OvumのアナリストJohn Delaney氏は、1通あたりの料金が下がっており、テキストメッセージ市場の売上高は横ばいの状態に入りつつあると指摘する。そして、「オペレータはテキストメッセージに匹敵するような大衆受けする新しいタイプの通信サービス」を提供する必要があると警告している。

MDAでは、今回の統計結果を受け、2007年通年のテキストメッセージ送信数を480億通から520億通に上方修正する。