Google、T-Mobile、HTC、Qualcomm、Motorolaなどを中心としたモバイル関連企業34社が、オープンで自由なモバイルプラットフォームの実現を目指したアライアンス「Open Handset Alliance」(OHA)の結成と、その最初のプラットフォームとなる「Android」の開発を発表した。Androidを採用したモバイル端末および対応サービスは2008年下半期に登場する見通しだ。
ここ数週間、様々なメディアがGoogle携帯やGphoneなどの呼び名で、GoogleのWebアプリやオンラインサービス向けの携帯電話またはモバイルプラットフォームが登場する可能性を報じていた。噂が現実味を増すとともにGoogleの株価が急上昇。米国時間の10月31日に700ドルを突破し、その後も700ドル台前半で推移している。それほど期待されていたGphoneの登場だったが、米国時間11月5日のGoogle公式ブログの書き込みのタイトルは「Where's my Gphone? (Gphoneはどこ?)」だった。OHAのエンジニアリングディレクターであるSteve Horowitz氏は「Gphoneという特定の携帯電話は存在しない。われわれが実現しようとしているのは、産業全体から数千のGphoneが登場するような環境作りだ」と述べる。Google CEOのEric Schmidt氏も「数千の異なった携帯電話を動かすパワフルなプラットフォームがわれわれのビジョンであり、ここ数週間にプレスが予想したどのような"Google Phone"よりも今日の発表 (Open Handset AllianceとAndroid)の方がずっと野心的だ」とコメントする。ただしOHAのプロダクトマネージャーのErick Tseng氏は「"Gphone"はプレスがAndroidにつけてくれた効果的なあだ名だった」と、予想しなかった宣伝効果を喜んでいる。
Androidはオペレーティングシステム、ミドルウエア、主要なモバイルアプリケーションを含む、モバイルデバイス向けの完全なソフトウエアセットである。Linuxカーネルを土台に構築されており、オープンソースライセンスで公開される。OHAによると、開発者の自由度の高さという点で「本当の意味でオープンである」という。例えばAndroidではサードパーティのアプリケーションがモバイルデバイスのコアアプリケーションと同等に扱われる。通話やテキストメッセージ送信、カメラ機能など、モバイルデバイスの全ての主要機能を自由に呼び出せるため、サードパーティのアプリケーションでもモバイルデバイスの機能をフル活用したリッチな利用体験を実現できる。その開発モデルは「インターネット・モデルをモバイルにもたらすもの」であり、Webサービスと結びついた新しいスタイルのアプリケーションの実現が期待されている。デバイスのロケーション特定やPeea-to-peerのソーシャルアプリケーションなど、リッチアプリケーションの構築を支援する幅広いライブラリとツールが提供される予定で、11月12日には初期版のAndroid Software Development Kit (SDK) がリリースされる。
Androidを採用することでデバイスメーカーやワイアレスオペレータは「自由なカスタマイズが可能になり、革新的な新製品をより早く、そして低価格で市場に投入できる」。その結果、コンシューマは「個人に結びついたサービス、リッチインターネットアプリケーション、使いやすいインタフェースなどを備えたモバイル端末をより手頃な価格で入手できるようになり、すばらしいモバイル利用を体験できる」という。
OHAの創設メンバーは、Aplix、Ascender Corporation、Audience 、 Broadcom 、China Mobile、eBay、Esmertec、Google、HTC、Intel、KDDI、LivingImage 、LG、Marvell、Motorola、NMS Communications、Noser、NTT DoCoMo、Nuance、Nvidia、PacketVideo、Qualcomm、Samsung、SiRF 、SkyPop 、SONiVOX、Sprint Nextel、Synaptics、TAT - The Astonishing Tribe、Telecom Italia 、Telefónica、Texas Instruments、T-Mobile、Wind River。携帯端末最大手のNokia、米通信キャリアのAT&TとVerizon Wirelessなどが参加していないものの、モバイルプラットフォームに関連するすべての分野をカバーした強力なパートナーシップを実現している。