KDDIは3日、東京・原宿のKDDIデザイニングスタジオにて「INFOBAR 2」のデザインを手がけたプロダクトデザイナーの深澤直人氏と、同製品や沢尻エリカを起用したau携帯電話「W53S」のテレビCMなど手がけたクリエイティブディレクター・タナカノリユキ氏のスペシャルトークショーを行った。
KDDIデザイニングスタジオ |
会場ではトークショー開始の1時間前から並ぶ観客もおり、開始時間の16時30分には立ち見の観客がでるほどの盛況ぶり。同製品の人気が伺えた。
深澤氏は、まず「電子機器のイメージは四角くて硬いもの。角張った形は機械の象徴とも言える」と機械についての一般的な認知を挙げ、初代のINFOBARから「INFOBAR 2」のデザインに至った経緯を説明した。
「INFOBAR 2」では、そんな機械のイメージを捨て、機械が人間に近づいた身体性を持つイメージを表現したと説明した。デザインコンセプトである「四角い飴が口の中で溶けて丸みを帯びはじめたかのようなかたち」は上記のイメージを分かりやすく伝えるために考えたのだという。また、実際に四角い飴を実際に口の中で溶かしてみたところ、「INFOBAR 2」そっくりの形になったというエピソードも語った。
また、初代INFOBARをデザインした時と比べて携帯電話メーカーの技術が進歩し、設計の難易度が高いにもかかわらず、なめらかな曲面と手になじむフォルムという、コンセプトモデルとまったく同じ筐体の作製が可能なことに驚いたという。デザイナーの意向に沿った製品を作ろうとするメーカーの協力体制と技術力の高さを賞賛した。
深澤氏は、筐体の完成度に加え、有機ELディスプレイの美しい画面表示やワンセグ、EZ FeliCa、PCサイトビューアーなどの最新機能を搭載した「INFOBAR 2」を、自身の予想を超えたものになったと評価した。
続いて、タナカ氏が「INFOBAR 2」の印象として、「未来的な形だが、どこか懐かしさをかんじるデザイン」と語り、ファッションやグラフィックなどと結びついた既存のデザインケータイとは一線を画した携帯電話で、プロダクトデザインをよく理解したデザイナーが作った端末だと評価した。テレビCMを製作する際には、上記の印象を大切にし、今までのデザインケータイの広告の手法を断ち切ったものを目指したという。
トークショー最後の質疑応答では、コンセプトモデルの段階でのカラーバリエーションから、SILVER、MIDORI、NISHIKIGOI、WARM GRAYの4色を製品化した理由について深沢氏が「マーケティング上の戦略で決定した。しかし、すべてのカラーバリエーションを製品化したいと思っている」と語り、「どんな色を塗装しても破綻のない形をデザインする必要がある」と自身のデザイン思想を語った。
なお、KDDIデザイニングスタジオでは31日より「INFOBAR 2 特別先行展示イベント」を行っており、1階のエントランス付近に「INFOBAR 2」の特設展示ブースを設置している。ブースは、INFOBAR 2が印刷された巨大なパネルで仕切られており、クレードルに設置された実機を展示している。実機には実際に触れることができる。
そのほか、バッグとラゲージの総合メーカーであるエースが展開するブランド「ACE 60」とのコラボレーションによるINFOBAR 2専用ケースの展示や、深澤氏がデザインディレクターをつとめる家電・雑貨ブランド「±0」とのコラボレーションによる、雑巾型の画面クリーナーが付いた携帯ストラップも展示している。携帯ストラップについては、LISMO!のキャラクターグッズなどを扱う4階「LISMO FOREST」で購入できる。なお、1階の先行展示イベントは、29日まで行っている。
また、KDDIデザイニングスタジオの1階から2階へ続くスロープには、「au design project」で実際に製品化した端末のパネルが発表された年代順に並ぶ。2階では、10月16日に発表されたau携帯電話2007秋冬モデルの展示を行っており、端末に実際に触れることが可能。