制作活動をスタートしてから20年の節目を迎えた和紙ディレクター・堀木エリ子さんの展覧会「堀木エリ子の世界展 和紙から生まれる祈り」が神奈川県横浜市のそごう美術館(そごう横浜店6階)で開かれている。「祈り」をテーマに5つの空間が表現され、和紙が生み出す独特の空気感を体感し、光との融合による陰影を楽しむことができる。開催期間は12月2日まで。

堀木エリ子氏(写真撮影 : 高橋昇)

堀木さんは1962年京都生まれ。高校卒業後は都市銀行に就職したが、和紙を扱う会社へ転職し、手漉き和紙に出会った。2000年に「堀木エリ子&アソシエイツ」を設立すると、和紙の革新的技術を次々開発し、これまでに日本建築美術工芸協会賞、インテリアプランニング国土交通大臣賞などを受賞。1998年には成田国際空港第一旅客ターミナル到着ロビー・アートワーク制作、2000年にはハノーバー博覧会・日本館ランタンカー制作をはじめ、2005年にはそごう心斎橋本店、2007年には東京ミッドタウン・ガレリアでの大規模な店内装飾を手掛けた。

展覧会では、古来から伝わる「透かし」の手法を現代のデザインと合わせて光の廊下をつくり、5つの祈りの空間へのプロローグとしている。その廊下を進むと、1つ目の空間「祈り1 : 安らかな眠りと新しい命をあたえられますように」へ。全長15メートル、高さ2.7メートルで漉かれた巨大な和紙で包み込まれた暖かな日だまりのような光の空間が現れる。2004年に浜名湖花博で故野村万之丞氏とともに花の精をモチーフにして制作した和紙の伎楽面を展示したのは「祈り2 : 花の精が自然を育み地球を守ってくれますように」。続いて、作品「祈り3 : 世界中の子供たちが健やかで幸せでありますように」では、アメリカのキャラクターと日本の伝統産業が結びついたオブジェが出迎え、驚きと楽しさに満ちた空間となっている。

「祈り4 : 人々が暖かな光に包まれて幸せに暮らせますように」では、フランスのクリスタルブランド・バカラとのコラボレーションによる和紙のシャンデリアやライトオブジェが展示され、暮らしの中で生きる独創的なインテリアとして紹介。最後の「祈り5 : ものを愛おしみ丁寧に包む日本の美学が敬称されますように」では、1989年から手掛けてきたオリジナル和紙によるラッピングが展示されている。

開催中無休で、時間は10時~20時(最終日は17時に閉館)。入館は閉館の30分前まで。入館料は大人800円、大学・高校生600円、中学生以下無料。