全国映画館にて20日より、CGアニメ映画『EX MACHINA -エクスマキナ-』が公開されている。士郎正宗の人気マンガを、フル3DCG技術によって映画化した『アップルシード』(2004年公開)の続編となる本作。プロデュースをアクション映画の巨匠、ジョン・ウーが手がけるなど、豪華スタッフが多数参加していることでも注目を集めている。
<あらすじ>
非核大戦によって、人類の半数が死滅した世界。中立都市オリュンポスには人間とサイボーグ、バイオロイド(クローン)が共存していた。オリュンポスの特殊部隊に所属する天才的な戦士、デュナンとブリアレオス。ふたりは強力なパートナーであり、強い信頼で結ばれた恋人同士でもあった。過去の戦いで負傷したブリアレオスの肉体がサイボーグになっていても、デュナンの愛は変わらず彼に向けられていた。ある日、作戦行動中にデュナンをかばったブリアレオスが、瀕死の重傷を負う。一命を取り留めたものの、依然昏睡状態が続くブレアリオス。まだ回復の兆しも見えないうちに、デュナンのもとに新たなパートナーが配属されてくる。その男――テレウスは、ブリアレオスの遺伝子をもとに作られたバイオロイドであり、生身の姿だった頃のブリアレオスと同じ顏と肉体を持っていた――。
メインビジュアルから。原作『アップルシード』は1985年に発表された士郎正宗のプロデビュー作。もうひとつの代表作『攻殻機動隊』シリーズと比べて見るのも楽しい |
監督は、前作『アップルシード』で大きな反響を呼んだ荒牧伸志が続投。制作も前作と同じくデジタルフロンティアが行っている。注目ポイントは豪華なゲストスタッフ。プロデュースを担当したジョン・ウーほか、衣装デザインにはファッションブランド、PRADAのミウッチャ・プラダ。音楽監修には自ら『アップルシード』のファンと語るミュージシャン、細野晴臣が参加し、主題歌は細野に元YMOのメンバー、坂本龍一、高橋幸宏を加えた新ユニット、HASYMO(ハシモ)が担当した。音楽にはこのほかテイ・トウワ、コーネリアス、m-floらが名を連ねるなど、異例の集結ぶりとなっている。
ビジュアル面も、荒牧監督自身が会見などで前作のデータを捨ててすべて作り直したと自信を見せるだけあって充実している。ファミリー向けが中心の海外製3DCGアニメとは一線を画したハードな未来世界が、クオリティとボリュームの両面をアップさせて描き出された。二挺拳銃や鳩といったジョン・ウー映画のお約束も盛り込まれ、しかもそれがひとひねりしてストーリーに組み込まれているあたり、芸が細かい。ストーリーはアクション映画としてのわかりやすさを重視してか、比較的ベタな作りになっているが、今後脚本面でも革新性が加われば、鬼に金棒と言えるだろう。
より美しく、より勇ましくブラッシュアップされた女戦士デュナン。本作ではサイボーグのブレアリオスと彼のクローン、テレウスの間で心が揺れることに…… |
映画以外にも『アップルシード』の世界は展開が進められている。今秋のサービス開始が予定されているのは、ゲームポットによる新作オンラインゲーム『アップルシードオンライン カードタクティクス』。プレイヤーは世界の覇権を狙う5つの勢力のいずれかに所属し、敵勢力と戦いながら様々なミッションに挑むという趣向で、カードゲーム、戦略シミュレーション、MMOの要素をミックスした内容になっているという。基本料金は無料で、アイテム課金制度を予定。現在公式サイトでは先行会員登録を受け付け中。映画、オンラインゲームなど、ここへ来て士郎正宗の世界はますます広がりを見せている。