11月10日に公開される押井守原作・総監修による実写映画『真・女立喰師列伝』が、第20回東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門に出品され、上映に併せて舞台挨拶が行われた。ステージには、押井のほか、監督を務めた神谷誠、神山健治、辻本貴則、湯浅弘章、出演者の兵藤まこ、佐伯日菜子、藤田陽子、安藤麻吹が出席し、この映画への思いをそれぞれ語った。
『真・女立喰師列伝』は、立喰いによる無銭飲食を生業とした架空の仕事人=立喰師(たちぐいし)を描いた押井監督作品『立喰師列伝』(2006年)からのスピンオフ作品で、今回は、美しい女立喰師たちを主役にしたユニークな実写映画となっている。6人の女立喰師をそれぞれ6編の短編オムニバス形式で構成し、押井が2作品を監督、ほか4作品を押井が認めた若手監督がそれぞれ手掛けている。(作品のレビューはこちら)
押井守の誘いに手を挙げた女優陣は、それぞれどんな思いでこの作品に取り組んだのか? まず前作『立喰師列伝』で初代の女立喰師を演じた兵藤まこが、「この『真・女立喰師列伝』のオープニングを飾らせていただきました。今回は新しい女が6人登場します。どの作品もすばらしい出来ですので、ぜひご覧ください」と冒頭で挨拶すると、「(『Dandelion 学食のマブ』は)どことなく懐かしくて、それでいてハラハラドキドキ感も味わえる、ちょっぴり切ないラブストーリーになっています。ぜひ!」(安藤)、「(『草間のささやき 氷苺の玖実』は)とうきび畑で育った女の子が、色気を使ってお菓子を奪うという役を演じさせていただいきました。とても不思議なストーリーになってると思います」(藤田)、「(『ASSAULT GIRL ケンタッキーの日菜子』では)本当に楽しく参加させてもらって、どんな風にできあがるんだろうとドキドキしていました。出来上がったのを見ると、すごくカッコいい映像になっていて、うれしくてうれしくてその日は、よく眠れました(笑)」(佐伯)と出演女優陣3人が物語への思いを語った。
そして、このワールドの"総支配人"でもある押井監督が舞台挨拶の最後を自信満々に締めくくる。「この映画で東京国際映画祭に参加するとは、実は全然思っていなかったんです。ただ、考えてみたら前回の『立喰師列伝』でベネチア映画祭に行ってますので、ま、"当たり前"のこと(笑)。どちらかといえば、この映画でこの舞台に立てることも当然だし、"ざまあみろ"という気分で作りました。今もそういう気分です。なおかつこれが成功して、さらに続編を作れれば、もっと"ざまあみろ"である。映画というのはそういう気分で作るもの」と押井節を展開し、笑いを誘った。
押井監督が「ざまあみろ!」で我々に先制パンチを喰らわせた『真・女立喰師列伝』。押井監督にノックアウトされるのを覚悟で、どっぷりと押井ワールドに浸ってみるのも秋の夜長にはいいかもしれない。『真・女立喰師列伝』は11月10日(土)~11月30日(金)渋谷シネクイントにて特別限定レイトショー公開される。
『真・女立喰師列伝』作品リスト
作品名 | 監督 | 主演 |
---|---|---|
『金魚姫 鼈甲飴の有理』 | 押井守 | ひし美ゆり子 |
『荒野の弐挺拳銃 バーボンのミキ』 | 辻本貴則 | 水野美紀 |
『Dandelion 学食のマブ』 | 神山健治 | 安藤麻吹 |
『草間のささやき 氷苺の玖実』 | 湯浅弘章 | 藤田陽子 |
『歌謡の天使 クレープのマミ』 | 神谷誠 | 小倉優子 |
『ASSAULT GIRL ケンタッキーの日菜子』 | 押井守 | 佐伯日菜子 |
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