20年間親しまれてきた「レディースオープン・トーナメント」が、毎日コミュニケーションズ主催となり、女流棋戦としては最高額となる500万円の賞金がかかったタイトル戦「マイナビ女子オープン」として生まれ変わった。その栄えある初代「女王」の座を誰が獲得するのかと、将棋ファンの注目が集まる中、マイナビ女子オープン予選が20日、行われた。
トーナメント会場には予選とはいえ、多くの報道陣、関係者が詰めかけ、女流棋士の入場を待っていた。また大盤解説が行われる別会場では、開場前早くから熱心なファンが列を作っていた。対局場はコの字型に机が並べられ、真ん中からすべての対局を観戦できるよう準備されており、正面左にはトーナメント表が掲げられていた。
開始時刻の10時近くなると、やや緊張した面持ちながら女流棋士が続々と入場。さすが女流棋士トーナメントらしい華やかな入場風景だ。女流棋士が入場してそれぞれの席につくと会場は静まり返り、駒を並べる音ばかりが響くようになった。そして開会宣言の後、対局が一斉にスタートした。
予選は持ち時間が40分(チェスロック使用)。大盤解説の会場は一抜け予想(1回戦で誰が最初に勝つか)をする回答用紙が配られるなど一転リラックスしたムード。藤井九段と先崎八段の大盤解説が始まると、ポイントを押さえつつも軽妙なやりとりで来場者を楽しませていた。
1回戦の「一抜け」はなんと今回がデビュー戦となる中村桃子女流2級。大盤解説会場に正解者はいなかったようだが、対局場の参加者もいるので、賞品の直筆サイン入り写真パネルの行方は全対局が終了してから決まるようだ。
終盤戦にかかってもっとも白熱していたのが、山下カズ子女流五段と中学3年生の小野ゆかりアマとの対局。局面が二転三転する大熱戦ののち、最後に勝ちをおさめたのは小野アマだった。対局終了後、ふたりは大盤解説会場に姿を見せ、解説に加わった。
対局の感想を聞かれ、「緊張しました」と小野アマは話していたが、終始落ち着いていたのが印象的だった。デビュー戦で勝ちをおさめた中村女流2級や、中学3年生の小野アマの勝利により、2回戦以降の対局がいっそう盛り上がることだろうとされていたが、高群佐知子女流三段に破れ、予選敗退となった。
その後、2回戦は14時、3回戦(最終局)は17時に行われ、1日がかりで行われた予選は幕を閉じた。見事予選を勝ち抜いた8名は以下の通り。すでにシード条件(レディースオープン2006ベスト4+前年度タイトルホルダー+棋戦優勝者)をクリアしている、矢内理絵子女流名人、里見香奈女流初段、山田久美女流三段、村田智穂女流初段、清水市代女流二冠、斎田晴子倉敷藤花、千葉涼子女流三段、甲斐智美女流二段の8名を合わせ、16名が本戦出場となる。
マイナビ女子オープンの本戦トーナメントは11月下旬~12月上旬に開催される予定だ。
マイナビ女子オープン予選通過者(順不同)
- 中井広恵女流六段
- 石橋幸緒女流四段
- 船戸陽子女流二段
- 早水千紗女流二段
- 中村真梨花女流初段
- 鈴木環那女流初段
- 上田初美女流初段
- 貞升南女流1級