ダレン・ヒューストン氏

マイクロソフトが10日に開催したイベント「MS Japan Diversity Forum 2007 Great Place to Work ~働き方の多様性~」において、"Opening & Leaders's Talk"と題した講演会が行われた。

トークセッションの第1部のはじめに登場したのは、米マイクロソフトのコーポレートバイスプレジデント、および同社の日本法人の代表執行役を務める、ダレン・ヒューストン氏。ヒューストン氏は、社員向けに事前に行った調査で「企業としてのマイクロソフトの方向性」と「マイクロソフトが醸成しようとしている企業文化」の2点に対する疑問が社員から多く寄せられていることを明かし、これに対する取り組みとして、同社の"diversity(多様性)"に対するプログラム「My Microsoft Japan」に基づき、改善策を組織的に行っていく意向を語った。具体的には、ルールやガイドラインの設置や、マネージャがそれぞれに設定しているローカルルールと会社の方向性が一致していない点を改善し、パワーハラスメントなどに対するマネージャ向けのトレーニングを行っていくことを示した。

樋口泰行氏

続いて加わったマイクロソフトの代表執行役兼COOの樋口泰行氏は、鳥や魚の群れを例に出し「動物は同種が心地よいという否定できない性質があるように思う。しかし、それが悪いほうに向くと"集団心理"として盛り上がることがあることもあり、それは感情的なものであり、決して論理的ではない」と述べ、それらを打破する普遍的な価値観として、"diversity"と"inclusion(共生的な教育現場)"が重要性であることを強調した。また、「多数派/少数派、強者/弱者といった間で差異が生じるのはあってはならないこと。単一的な考え方だとイノベーションは起こりにくい」と述べ、同社の方針として、人権上の問題、企業競争力の観点で"diversity"と"inclusion"を進めていくとし、その基本は"異文化の存在を認めること"にあると語った。

さらに、マイクロソフトが抱える人事面での問題として、入社した社員が定着しない"early attrition"があるという。樋口氏は「これは"inclusion"の側面で反省すべき課題。残念ながら我が社でもパワーハラスメントが見受けられる」と指摘。また「"performance"と"diversity"は別次元のもの。成果を挙げている人が偉いという価値観は間違っている。たとえ"performance"が低くても、人間として尊重しなければならない。本来、まったく独立しているはずの概念がこっちゃになっている」とした上で、社内では"diversity"の属性は、採用、評価、昇進に対してまったく別のものとして組織づくりをしていることを語った。

マイクロソフトが直面している課題を率直に語る両氏は、"diversity"を認め合い、受け入れることができる組織を目指す