壇上に並ぶ黒一色の男達。デビューから一貫して男臭い漫画を描き続けてきた漫画家・宮下あきらの大ヒット作『魁!! 男塾』がなんと実写版映画として2008年新春に公開されることが決まり、18日、都内にて完成披露試写会が行われた。上映前、出演者と原作者が登場して行った舞台挨拶では撮影中の信じられないエピソードが明かされ、会場を騒然とさせた。
『魁!! 男塾』は1985年から1991年まで『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載され、破天荒な世界観とありえないバトル、それに妙なリアリティを与える架空の出版社『民明書房』刊行物からの引用(当初、本気で信じ込む子どもたちが続出したがどんどんエスカレートして完全ギャグ化)などが受け一躍ヒット作の仲間入りを果たし、コミックスの売り上げは現在まで累計2,600万部を超えているというお化け漫画だ。
これが実写版・剣桃太郎だ! |
監督・主演の剣桃太郎(つるぎももたろう)役を務めたのは、こちらも同じくジャンプ出身の荒唐無稽ギャグ漫画で知られる、漫☆画太郎原作の映画『地獄甲子園』でも見事なアクションを披露した坂口拓。他のキャストには映画『スクールウォーズ HERO』の泣き虫先生など暑苦しい役柄がハマリ役になりつつある照英や、これが映画初出演となる山田優の実弟・山田親太朗など話題も盛りだくさんだ。
その他、ナレーションの千葉繁(北斗の拳のザコキャラの声で有名)や塾長・江田島平八役の麿赤児など細部の"コダワリ"が見て取れる。
そしてやはり気になるのは、どう考えても実写化不可能と思える数々の奥儀や名場面をどのような形で実写化したのか。そのあたりのことを質問された坂口は「男の熱さでどうにかなるんじゃないかと思った。CGでごまかしている映画が多い中でみなさんには男気を見せてもらった。押忍(おす)!」と回答にはなっていなかったが気合だけは見せ付けた。
続けて「暑苦しい映画に私みたいな暑苦しい男がでる。それがこの映画の神髄ではないかと思います。男とはなんぞやという部分を見てもらえれば笑えるんじゃないか」と照英。
原作の宮下あきら氏も「期待通り。実写ならではの迫力とリアリズムだった。原作の3倍くらい面白くなっている」と太鼓判を押した。また山田は「みんな見どころです。僕が車に轢かれるところとか(笑)」と天然キャラぶりを発揮、そのキャラが映画でどう生かされているのか楽しみだ。
2000年代に入って映画に限らず、音楽では『サンボマスター』や『銀杏BOYZ』、漫画では花沢健吾『ボーイズ・オン・ザ・ラン』など男の熱い思いをストレートに提示する表現が支持を集めている。そう言った意味ではこの男塾、十分に時代のリアリティを持ちうるのかもしれない。
『魁!! 男塾』は2008年早春シネマスクエアとうきゅう/シアターN渋谷他全国ロードショー予定。
(C)宮下あきら/集英社・「魁!!男塾」製作委員会2007