調査委会社の米IDCは10月17日(現地時間)、2007年第3四半期(7-9月期)の世界のPC市場調査報告を発表した。同期の世界でのPC出荷台数は6685万台で、前年同期比15.5%アップと堅調な成長を続けていることがわかる。今期最大のハイライトは米Hewlett-Packard(HP)のシェアがさらに拡大していることで、2位のDellの出荷台数の伸びが鈍化したことで両社の差がさらに開いている。またベンダー別では台湾のAcerが前年同期比で59.2%と最大の成長率を達成しており、3位のLenovoとほぼ同率で並ぶ形となった。またノートPCの需要の伸びが顕著だとIDCは指摘しており、特に欧州地域でその傾向が強いという。

今回の調査についてIDCでは、新学期シーズンと小売り/SMBでの需要増という2つの追い風が成長要因になっていると分析する。コスト削減効果や競争激化による値段の下落、新興地域での需要増などもあり、全地域において伸びは好調で、第4四半期も引き続き堅調な伸びが期待できるとみている。地域別では欧州、中東、アフリカを含むEMEA地域でノートPCの出荷が大幅に伸びている。EMEA以外の地域でもノートPCは堅調な成長を続けており、同地域が全体のトレンドを引っ張っている様子がうかがえる。一方で日本での出荷台数の伸びはマイナス水準に落ち着いている。だが同年第2四半期や昨年の水準と比較すれば幾分か状況が改善しているようだ。

今後のリスク要因については、コンポーネントの供給が出荷台数の伸びの抑制や製品価格上昇を引き起こす可能性があるとIDCは述べている。特にディスプレイやバッテリの供給で問題が発生する恐れがあるという。現在サプライヤは増産に向かっており、PCベンダー側も供給されるコンポーネントに合わせた形でラインナップを揃えている段階だが、もしここで供給が満たされなかった場合、小規模なPCベンダーが大きな影響を受けることになるかもしれない。

ベンダー別ではHPの世界シェアが19.6%に達し、15.2%のDellとさらに差が開いている。Dellは同社が得意とする米国での出荷台数がマイナス成長になる一方で、EMEAや太平洋アジア地域でのシェアを躍進させている。HPはDellの居城だった米国内での成長率が高く、これが世界シェア拡大の一要因ともなっている。3位以下ではLenovoが22.9%と引き続き好調な成長を続けているが、Gatewayの買収を発表した4位のAcerがそれをさらに上回る59.2%の成長を見せており、世界シェアでは両社がほぼ並ぶ状態となった。同四半期にAcerの米国内のシェアは減少しているが、もし今後Gatewayの買収を実現してシェアの拡大を実現すれば、勢力図が大きく塗り変わる可能性がある。また米国内でのPCシェア3位にはAppleが6.3%でつけており、前年同期の5.7%のシェアからさらに躍進している。

世界のPC出荷数: メーカー別集計(出荷数の単位は1,000)
順位 ベンダー 3Q07出荷数 3Q07シェア 3Q06出荷数 3Q06シェア 成長率
1 HP 13,094 19.6% 9,848 17.0% 33.0%
2 Dell 10,180 15.2% 9,807 16.9% 3.8%
3 Lenovo 5,502 8.2% 4,476 7.7% 22.9%
4 Acer 5,436 8.1% 3,415 5.9% 59.2%
5 Toshiba 2,925 4.4% 2,494 4.3% 17.3%
その他 29,713 44.4% 27,859 48.1% 6.7%
合計 66,850 100.0% 57,899 100.0% 15.5%