巨大なライバルへの対抗策
この8年間で見逃せない動きといえば、インターネット企業が存在感を増してきたことだろう。中でも、Googleは巨大なライバルとなった。検索を中心としたGoogleとの競合についてCourtois氏は、検索技術そのものへの投資と広告の2つから取り組みを紹介した。1つ目の技術革新では、「数年前から、検索市場で巻き返しを図るため、社内でも最も優秀なエンジニアが取り組みを進めている。少しずつシェアを回復するだろう」と語る。2つ目の広告プラットフォーム強化は大きなフォーカスとなり、最近買収したaQuantiveなどの技術を取り込んでいくものになるという。
Googleのほかにも、Facebook、SecondLife、YouTubeなどが生まれたが、「Microsoftは新しいチャンスをすべて見逃したのでは」というモデレータの意見に対し、Courtois氏は、「Windows Live Services」ブランド下で進めている新事業を説明した。
Microsoftは現在、Liveの下、メールの「Live Mail」、IMの「Live Messenger」などのコミュニケーションサービスを統合しており、セキュリティサービスの「Windows Live OneCare」に代表されるように、新しい分野にも打って出ている、とCourtois氏は強調した。
「マルチコア企業」へ
そのような事業の拡大を象徴するのが、創業者Bill Gates氏の退任発表だ。Gates氏退任後のMicrosoftは、Ray Ozzie氏の下、ソフトウェア部分を統括するJeff Raikes氏(ビジネス部門担当プレジデント)、Windowsエクスペリエンス担当のKevin Johnson氏(プラットフォーム&サービス部門担当プレジデント)、コンシューマビジネスのRobert J. Bach氏(エンターテイメント&デバイス部門担当プレジデント)の3人が足元を固めるという体制という。また、新しいMicrosoftを担うリーダーシップの開発にも時間を割いており、次なるバイスプレジデントの育成は重要視しているとの方針を明かした。
事業全体についてCourtois氏は、「マルチコア企業」という同社CEOのSteve Ballmer氏の言葉を引用した。デスクトップ製品がこれまでのコアであり、VistaなどのOS、Officeなどアプリケーションなどがある。コア事業以外の事業分野における成果としては、消費者家電分野がある。Courtois氏はここで、「Microsoft Xbox 360」ゲームソフトの「Halo3」の成功、最新製品をリリースしたばかりの音楽端末「Microsoft Zune」などを紹介した。
サービスについては、「Microsoftはデータコミュニケーション企業ではない」と述べ、パートナー戦略を強調した。たとえば、IPTV。約10年前から開発を進めていたが、取り組みは知られていなかった。市場と技術の体制が整ったことを受け、米AT&T、独Deutsche TelekomなどがMicrosoftのIPTV技術を実装しており、「仲介役を果たしている」とCourtois氏は言う。また、Microsoftの検索技術をモバイルサービスに統合したインドの事例などがあるという。
Courtois氏は最後に、自身の担当である米国以外の地域でMicrosoftが順調に成長していることにも触れた。現在、収益の60~70%が米国外からで、ロシア、インドや中国などのアジア地区で急成長しているという。