NowPublic共同設立者兼CEO Leonard Brody氏

ブログブームから数年、市民ジャーナリズム分野で「クラウドソース(crowd source)」という新しいキーワードが生まれている。10月7日、ハンガリー・ブダペストで開催された年次イベント「ETRE 2007」にて、ニュースサイトNowPublic(カナダ)の共同設立者兼CEO、Leonard Brody氏がクラウドソースと市民ジャーナリズムの可能性について語った。

NowPublicは2005年創業のベンチャー企業。写真を中心とした市民ジャーナリズムによるニュースサイトを展開している。

Brody氏はまず、「現在、"ニュース"という言葉の持つ意味は年齢により異なる。10年後には、意味をなさないだろう」と述べる。たしかにインターネットやブログの登場により、ニュースは大きく変わった。

Brody氏は現在のニュースメディアが抱える問題について、コンテンツへのニーズと供給におけるミスマッチ、収益性などを挙げる。

ニュースフィードへのニーズは高く、グローバル化によりこれまで以上に世界のニュースが求められている。しかも、ブログにより、既存ニュースに求められるリアルタイム性への要求はさらに高くなった。しかし、ニュースの本質として、予測できないことがほとんどだ。「そのとき、その現場にいる」という可能性はきわめて低い。そのため、既存のニュースエージェンシーやメディアはスタッフを配置し、ニュースがあればすぐに駆けつけられる体制を整えている。

だが、ニュースが起こる現場にはほとんど必ず誰かがいる。しかも、必ずといっていいほど、カメラなどの記録デバイスを持っている人が1人はいる。クラウドソースはこの面に着目したもので、NowPublicは「そのときその現場にいる市民ジャーナリストのネットワークが構成するニュースエージェンシー」を目指す。