Greenpeaceは10月15日、Appleの多機能携帯電話iPhoneの一部に有害な化学物質が使用されていると指摘するレポートを公開した。テストの結果、iPhoneに使用されているパーツは欧米の規制を守っていることが確認されたものの、Appleは2006年後半から"よりグリーンなApple"をアピールしており、ユーザーが受けるイメージと実際の製品に大きな差があるとしている。
Greenpeace Research Laboratoriesがまとめた「Missed call: the iPhone's hazardous chemicals」によると、テストしたiPhoneの18パーツのうち、回路の大きな部分を占めるアンテナを含む半分のサンプルから臭素化難燃剤 (BFR)が検出された。またヘッドフォン・ケーブルのコーティングに使用されているポリ塩化ビニールプラスチック (PVC)にフタル酸類の有害物質が約1.5%混合されていたという。
Greenpeace Research LaboratoriesのシニアサイエンティストであるDavid Santillo氏は「ヘッドフォンから検出されたフタル酸類の可塑剤は、性的機能への害の懸念から欧州では”toxic to reproduction、category 2"に分類されている。モバイルフォンでは制限されていないが、玩具や育児用品などでの使用は禁じられている。Appleは、製品全般でこのような化学物質の使用を廃止するべきだ」とコメントしている。
Greenpeaceによると、NokiはすでにPVCフリーを実行しており、MotorolaとSony EricssonもBFRフリーのパーツを使用している。iPhoneについては有害物質への懸念に加えて、内部でハンダ付けされているバッテリが正しい廃棄やリサイクルを難しくしていると指摘。さらにNokiaやSonyEricssonと同様に、iPhoneにもグローバル規模の回収ポリシーを設けるべきだとしている。
米国においてiPhoneは発売から74日で100万台を突破し、11月には欧州での発売も始まる。非常に大きな注目を集める製品ゆえに、Greenpeaceも厳しく対応している模様だ。このレポートを基に、フタル酸類の可塑剤の使用を問題視したCenter for Environmental Healthが訴訟の準備を進めていると一部で報道されており、問題として拡大する可能性も出てきている。