――次にSilverlightについてですが、インストールベースを増やすことと開発者を増やすことの両方必要だと思いますが、どのような取組みをされていますか?
キース・スミス氏:これは非常に大きな課題で、現状はユーザーのインストールベースが大きくないので、デザイナーや開発者がそこに投資をしようという意向がまだありません。ですから我々はSilverlightのリリースをSilverlight 1.0とSilverlight 1.1(現在Alpha Refresh版)の2つに分けました。1.0では、まずインストールベースを増やすことを目指しており、1.1はプラットフォームとしてデザイナー、開発者向けに提供しています。なぜなら、いきなりSilverlight 1.1を出してC#やpreviewを書いて欲しいといってもハードルが高い。そこでまずJavaScriptのプログラミングモデルを1.0で採用して普及率を上げ、プラットフォームとして認識してもらったうえで1.1に移行していただき、真のプラットフォームとして完成させようと考えています。
Silverlightと.NETの強みは、アプリケーションの開発に要する時間とデザイナーの作業時間を短縮できることです。リンクやWindows MediaサーバとかXMLのクラスライブラリが使えるので、より短時間でアプリケーションの開発ができ、市場投入ができます。これはアプリケーション開発全体のコストに大きく関わってくると思います。
――開発企業やデザイナーへの支援としてパートナープログラムがありますが、その内容について教えてください。
キース・スミス氏:世界的にはSilverlightパートナーイニシアチブという、Silverlightの採用を増やす取組みを行っていて、現在35社のパートナー企業にご参加いただいています。ここでコンテンツの開発、ソリューションの開発は進んでいくことになります。
また、日本国内のパートナープログラムは現在、約30社が加盟していて、1カ月に1回程度、最新情報を提供する機会を設けています。Silverlightは新しい技術でまだ情報が少ないので、開発支援や仕様の説明を行っています。また我々としては、欲しいツールや機能などについてのご要望やフィードバックをいただいく場としても活用しています。
――目標のインストールベースはどれくらいでしょうか?
キース・スミス氏:目標は、今後12カ月で3億台あるといわれているネットに接続されたパソコンのうちの80%、2億4,000万~2億5,000万台にインストールすることです。Silverlight 1.0は要求するシステム環境をかなり低く設定していますが、これからターゲットとしていくのはSilverlight 1.1なので、要求する環境はもう少し上になります。そういうわけで80%という目標はターゲットとして狙いたいパソコンのほとんどすべて、といっていいでしょう。
Silverlightがサポートしている映像コーデックのVC-1は、ハードウェアに対する要求が同じ映像コーデックのH.264ほど高くはありません。また成熟度の高いCLR(Common Language Runtime)を.NETフレームワークからデスクトップ上でサポートしています。このCLRがマルチプラットフォームになっているため開発にかかる労力が削減され、パフォーマンスとユーザーエクスペリエンスを天秤にかける必要がなくなりました。
――Silverlightのモバイル版をリリースするのはいつですか?
キース・スミス氏:時期はまだ決まっていませんが、Silverlightのモバイル版を出すことについてはすでにアナウンスしています。ラスベガスでのMIX07では、モバイル版のSilverlightを使ったアプリケーションのデモを行いました。マイクロソフトはモバイル環境をもうひとつのプラットフォームと位置づけています。Silverlightは現在WindowsとMacに対応しており、MoonlightでLinuxにも対応します。その次はモバイル版への対応だと考えています。
――ありがとうございました。