EPSON Scan V3.2はこれまで培ってきたEPSON Scanのユーザインタフェースを継承し、機能が加えられたものだ。ただ、ここまでスキャナの設定が詳細に指定できるようになった今、従来のユーザインタフェースは全体的に見直したほうが良いように思う。全体的に設定する箇所の階層が深かったり、なかなか見つけにくいところにあったりするからだ。例えば、サムネイル表示で異なるサイズに分割して表示されるときは、環境設定からフィルムサイズの設定を正しくしなければならない。また、ICCプロファイル埋込みを行うには「スキャンボタン」を押して、保存先を設定するパネルで詳細設定を押し「ICCプロファイル埋込み」にチェックを付けなければならない。こうした一連の操作は煩雑で、今後は改善して欲しいところだ。
EPSON Scan V3.2のプロフェッショナルモード。従来のユーザインタフェースを継承しているため、エプソンのスキャナを使ったことがあれば、すぐに慣れるので使いやすいが、いろいろ機能を追加して煩雑になっているので、そろそろ見直しの時期ではないだろうか |
最後にバンドルソフトについて触れておこう。GT-X970にはPhotoshop Elements 5.0(win)/4.0(Mac)のほか、先ほどの述べたとおり、カラーマネージメントツールのEZ Colorがバンドルされている。EZ Colorは、カラーマネージメントツールの中でも比較的初心者に向けたICCプロファイル作成ソフトで、精度も「i1シリーズ」ほどではない。しかし、スキャナとプリンタのプロファイルが簡単に作成できるため、カラーマネージメントツールは高価で手が出せなかった人にとっては、非常にありがたい存在である。しかもi1 Display2やhueyといった測色機を別途購入すれば、モニタのプロフィイルも作成できてしまう。
GT-X970には、EZ color反射原稿用ターゲットとEZ color透過原稿用ターゲットが付属しており、これだけでも別途購入(反射原稿用が8,400円、透過原稿用が1万6,800円で販売されていた)すると高価であっただけに、EZ Color本体の価格も考えるとかなりお得だ。カラーマネージメントはDTPでは必須だが、WEB関連の作業でも色に関しての作業環境を管理することは重要である。GT-X970は、単純にスキャナという道具を手に入れるだけではなく、クリエイティブな作業に必要な環境を整えることもできる魅力的な製品だといえよう。